特定非営利活動法人 きずなメール・プロジェクト

スタートアップの時期に業務を切り出して依頼。短時間で作業が進み、事業の後押しにもなりました

子どもたちの未来をよりよくしたいと、夫婦2人でNPOを設立

きずなメール・プロジェクトは代表の大島と私、2人で立ち上げた団体です。NPO法人になる2011年4月までは自宅が事務所でしたが、法人化と同時に思い切って6畳1間を借りました。その後、スタッフが1名、2名と増えていき、その場所では手狭になったので、2015年10月に今のオフィスに移転。現在、私たち2人に加えて常勤職員4名、数名のアルバイト、パート職員できずなメール事業を担っています。

団体のビジョンは、「誰もがかけがえのない思いで新しい命の誕生を迎え、子育てができる社会の実現」。ミッションに掲げているのは、「孤育て予防」。これらを実現すべく、現在、団体としての主な事業内容は、妊娠期からの乳幼児のお父さん、お母さんに向けに、「きずなメール(子育て応援メール)」原稿を制作し、配信していくというものです。

自分たちの妊娠・出産・子育てを通して、健康で充実した妊娠・出産期、さらには前向きな気持ちでその後の育児に向き合ってもらいたい、という想いから生まれた活動なのですが、団体単独で配信するのではなく、自治体や医療機関にひとつの事業として配信してもらう、というのが大きな特徴です。 最近は自治体との協働や事業委託が少しずつ増えてきており、現在は全国32の自治体で「きずなメール」を活用した子育て応援メール事業を展開しています。

人を雇う余裕はないけれどお願いしたい業務は明確にあった

現在、多くのNPOや社会課題の解決等に挑戦する団体は、立ち上げ期に中間支援と呼ばれる組織やプロボノと呼ばれる方々に支援、協力、応援をしてもらい、活動を軌道に乗せるべく奮闘しています。私たちの団体も、立ち上げ期からいくつもの中間支援組織やプロボノの方のお世話になってきました。そういった方々には、事業モデルの確立や事業計画の立て方といった経営支援をしてもらってきました。

Polarisのセタガヤ庶務部のみなさんにお世話になったのは、夫婦2人体制でやっていた2年目の頃でした。人手も足りないし実績もないけれど、まずはきずなメールを知ってもらいたい!という事業のスタートアップのところで、提案先となる産院や自治体のリスト作成、実際のテレアポなどの業務をお願いしました。

そもそも友人や知人などの個人ベースではなく、このような業務を頼めるところがあることを知りませんでしたし、雇用も派遣会社への依頼も敷居が高いなと感じていましたので、Polarisさんの存在を知り、すぐに連絡をしました。実際に会ってお話を伺って、まずはPolarisさんの企業理念にとても共感しました。新しい働き方、価値を自分たちで創り出し、それを広めていくという実行力に勇気ももらいました。

そして、子育てで時間は限られているけれど、本気で働きたい、という人が集まっているなと感じました。また、私たちも事業提案をして活動を持続させていくNPOなので、その点でも親和性と言うか、ぜひ一緒にやっていただきたいと思いました。庶務部のみなさんが妊娠出産を経験されたお母さんたちだということも、産院をピックアップしてもらうのに同じ視点で見てもらえそうだし、よいリストができそうということで依頼したのを覚えています。

配信される基本原稿は、産婦人科医、小児科医、助産師、管理栄養士などの専門家の監修を経て制作されたもの。

SNSを活用したテレワークでワークシェアはとてもスムーズに

実際にPolarisさんに依頼した業務は、具体的な作業としては「フェイスブック」の非公開グループ機能を使って庶務部メンバーさんのグループを作り、そこに私たちスタッフも入って、質問があったら直でやり取りをするという形で進めました。産院などのリスト作成には「グーグルスプレッドシート」を使ってメンバー間で内容共有しながら進め、テレアポでは 「トークスクリプト」を作成して活用も。

それまで、私たちは手探りでテレアポをしていましたが、Polarisさんのメンバーに、かつてテレアポ業務をされていた方がいらっしゃったおかげで、トークスクリプトって必要なのね、リストってこうやって作っていくのね、と逆に随分勉強させていただきました。SNSなどを使って複数のメンバーで仕事を進めていくこと自体が初めてでしたが、みなさんとても優秀で、すごくスムーズに仕事が進んだなという印象があります。また、テレワークでワークシェアはできるんだと実感できました。

寝ないで自分でなんとかするのと集中してやってもらうのとは違う

振り返ると、手が足りない、お金もないという時期でしたが、思い切って依頼してよかったと思います。外に依頼したことで、自分たちが違う業務をしている間にリストが完成し、アポが進んでいる。これは事業が前に進んでいるということです。おかげですごく後押ししてもらった気がしています。

人に託すことで、時間の重みについても考えさせられました。庶務部のみなさんにお願いした時間はそれほど長くなかったのですが、それぞれのメンバーが集中してやってくださったことで、業務は驚くほどはかどりました。2時間と決めてそのことだけを集中してやってくれる人が生み出すものと、日々いろんなことを掛け持ちしながらの2時間で生み出すものは、全然違うと感じました。

ワークシェアの担い手というのは、時間にたっぷり余裕があるからやります、という人たちではないはず。とりわけ庶務部のみなさんは、時間をうまく作って何か有効に使いたい、誰かに貢献したい、何かに挑戦したい、という想いがある人がやっていることですよね。心意気が違う気がしました。そして何より、業務を通して私たちの活動を応援してくれる気持ちが伝わってきたのも、うれしかったですね。

自治体事業が拡大し、新しいスタッフも加入。元読者からスタッフになったケースも。

「お願いした業務を複数のメンバーで関わってもらうことについて、不安はありませんでしたよ」と、事務局長の松本ゆかりさん。お隣はご主人である代表理事の大島由起雄さん。