6月23日に調布でここちよく、暮らしはたらくを実践していくための第1弾イベント、「調布はたらき方マルシェ」がcococi gardenで行われました。
当日は足元も悪い中、たくさんの方にご来場いただきトークセッションから始まり、ランチ交流会、出展、またワークシェア体験と最後は座談会まで1日たっぷりと『持ち寄るシェア』について体験いただきました。
最初に弊社取締役大槻よりイベント開催のご挨拶と調布での展望とともに事業紹介をしました。
株式会社MNHとこのgardenを多様な人が関わる働く場の拠点として創っていこうとお話を始めてから1年間、1Fのグローサリーショップ縁日屋山形の企画や3Fcococi gardenの活用など試行錯誤を重ねてきました。
今なお試行錯誤を重ねていますが、この春からMNHさんのお仕事を手伝う形で前年より多くのセタガヤ庶務部のメンバーが関わることができています。
昨年の試行錯誤を経て今年2016年の春から株式会社MNHと協働で多様な人が関わる場作りの具体的な実践が始まりました
一般的には子どもの預け先がない場合は働くことが難しいとされています。でもそれでは母たちは社会から分断されてしまい、いざまた働こうと思ってもなかなかハードルが高く、自分に自信が持てなくなる人が多くいます。また、身近な地域で自分のやりたい仕事をやろうと思っても起業することでしか叶えにくいものになっています。
”小さくても働き続けること”が次のステップへのハードルを低くするとPolarisは考えています。
MNHさんとはこの小さくても働き続ける場作りを共に創ってきました。
「Polarisでは「シェア」を「分ける」ではなく「持ち寄る」ことと考えている。」
そう大槻が語ったように、子どもがいても働けるようにこの現場では単身のメンバーと子連れのメンバーがチームになってお互いの資源を持ち寄ってコミュニティのある仕事場を実現しています。手を動かしながら子どもの育ちについて話したり、仕事のことを話したりできるのは気持ちにも余裕ができます。子どもの年齢が違うからこそちょっと未来のイメージができたり、どうしようと思ってた庶務部の他の仕事の相談ができたりすると一人で考えて諦めていたことにも踏み出す勇気が出てきます。
ただ、仕組みがあって、理屈で理解していても実際の現場は難しいのが実情です。チームとして成果を上げながら子どもがいる仕事場としてどう成り立たせられるかはメンバーみんなが日々頭をひねっています。
「「子連れで」ではなく「子どものいる暮らし」と考えることで、多様な人が関わることができるし、個人ではなく場で解決していくことを大切にしていきたい」
まずはこのgardenを中心に仕事軸のコミュニティづくりを始め、ゆくゆくは調布全体ではたらき方を変えていきたいと展望を語りました。
次に本イベントで掲げた「身の丈の生態系」というテーマについて弊社代表市川よりプレゼンテーションしました。
<h31)>自分らしさとは
「自分らしいとはどういうことか、このイベントがそれを考えるきっかけになればよいと思う。Polarisが大切にしたいことの1つに『未来におけるあたりまえのはたらき方を作る』という考え方がある。時間にしばられず、心地よくはたらく。あたりまえのこと、つまり特別のことではないということ。また、暮らすことも働くことも同じように大事。
子育て中の多くのママたちの多くが罪悪感を抱えている。子どもにやさしくできない、働けない、働いていることで子どもと過ごす時間が十分に持てない、などがその原因となっている。つまり本当は自分が大事にしたいと思っていることが大事にできていないということからその罪悪感は生まれていると考えられる。では、どうすれば子どものいる暮らしの中で心地よく働くことができるようになるのだろうか。
「罪悪感を持っているママたちには「ちゃんと」という言葉のしばりが見られる。
ちゃんと子育てしたい、ちゃんと家事をしたい、ちゃんと仕事をしたい…。ちゃんと、とはどういうことなのか。すべきことをきちんとこなしている状態が「ちゃんと」している状態。ちゃんとできなくてごめんなさい、という罪悪感。自分が何をちゃんとしたいのか、本当にちゃんとしたいのか、ちゃんとしないとどうなるのか、それを考えてみることが必要。「自分が何を大事にしたいのか」をいろいろな角度から見てみることが重要。そのためには多様な価値観、考え方にふれてみることが必要。」
「すべての生き物は周りとつながりエネルギーが循環している。それが生態系。
生きものとしての私たちもそれぞれが相互関係にあり、環境(地域)も私たちの構成要素である。関係性の中で生きている。全てを自分でコントロールできないとしても、その中からはみ出すことは不可能。つながりの中で自分らしく生きようと考えると「怖い」という気持ちが生まれることがある。」
「旭山動物園の行動展示。動物本来の動きを引き出すことで、本来持つすごさ、美しさ、尊さを見せている。ありのままのすごさ、人それぞれがその人の資質というものを持っている。その資質を活かしていきたい。」
「生きものとしての子どもの成長を信頼すること。子どもを泣かせることを悪いことと捉えることがあるが、それは本当だろうか。子どもは泣いて成長していく。「しつけはおしつけ」という言葉があるが、大人の事情を押し付けてはいないだろうか。
昌美の例。仕事を続けたかったが、出産を機に退職。「仕事」とはどこかに行って給料をもらうことだと考えていた。子どもが小さいとなかなかそれができない。しかし子連れでボランティア(子育て広場)に参加したことで居場所と出番を得た。また仲間に頼ることで生まれる信頼と機会を実感した。」
「今日のイベントは「調布はたらき方マルシェ」という名前。マルシェとはフランス語で「市場」を意味する。市場からイメージすることとして、「地元」「真ん中」「いろいろなものに直接かかわる・ふれられる」ということがあげられると思う。今日はそんな言葉のイメージを体現するようなイベントにしたいと思っている。」
ここから持ち寄るシェアについて登壇者の皆さんから事業への思いやどんな経緯で事業を行うにいたったかお話しいただきました。
「新しいビジネスモデルを作りたい。若い人が働けるモデル。地域にある資源とネットワークを活かせば新しいモデルを生み出せる。本日の会場となっているネクストバトンビルではフェンシング教室が開催されている。マイナースポーツにおいては引退後のセカンドキャリアの問題がある。コーチたちが食べていける、働ける場所を作りたい。
また、MNHは福祉作業所とも提携している。個々を見ると小さな作業を依頼しているが、みんなで集まれば大きなことが生まれる。この小さい作業を集めてオペレーションすることが大変。これを「仕組み」として作りたい。これも生態系を作る、ということになると思う。みんなで働けるというビジネスを作っていく。
」
「フェアトレード、エシカルアクセサリーの販売を6年前から行っている。母がずっと仕事をしていたので子どもの頃寂しかった。だから子どもが生まれたら、絶対に専業主婦になって仕事はしないと決めていた。母から『手に職を』と教えられていたので看護学校で学び、看護師、保健師として仕事をしてきた。赤ちゃん、子どもの健康に関わる仕事の中で虐待も多く見てきた。母子のつながりは非常に強く、虐待のあるケースでも子どもは母を求める。英国でアロマセラピーを学ぶ。そこで80歳の女性が皿を拭き、しまうというボランティアをしている姿を見て『自分でできることをする』ことの大切さを知った。子どもが生まれ、かねてから決めていたように専業主婦生活。子どもが4、5年生になったときに『お母さんは働かないの?』と問われた。チャイルドスポンサー等の活動もしていたため、貧しい環境の子どもたちの手助けをしたいという気持ちで現在のアクセサリーの仕事を開始。家は荒れたが、夫も子どもも信頼してよいのだと知った。自分が『やりたい』という気持ち、腹づもりがしっかりしていれば、家族からもまた信頼してもらえる。」
「つつじヶ丘に『もえぎ家』を仲間4人で2016年4月スタート。共働きの両親のもとに育った。帰りの遅い母にかわって夕食を作ったらとても喜ばれた。それがきっかけで料理の道へと進んだ。料理の世界は男性社会。その中でなめられないようにと『ふぐ免』(ふぐ調理師免許)を取得したりもした。結婚したら専業主婦に、ということにどこかで憧れがあり結婚を機に退職。仕事をやめてみたが、何かをやりたいという気持ちは大きく、ピースボートに乗ることを決意。しかし出発の前日に妊娠が発覚し、やむなく断念。出産し、母になれた喜びと同時に子育ての大変さも感じていた。夫は仕事で毎日帰りが遅く、子育てに手がまわらない状況。それでも手伝ってほしいという気持ちが大きくなってくる。自分も働いて共働きになれば、夫も子育てに参加してくれるのではと考えていたころにPolarisと出会う。仕事をすこしずつ始めてみたが、夫は手伝ってくれなかった。それがとてもショックだった。ストレスで心が病んでしまった。その苦しい時期に公民館で開催されていた子育てセミナーに参加し、徐々に回復していった。そのセミナーの講師の紹介で、『お出汁をひく会』の講師をやってみた。その後、男性向けの魚をおろす会などを開催。自分の『料理』というスキルを活かせる仕事がある、今までとは違う形で活かせるということに気づいた。今は味噌づくりや糠漬けなど季節の仕事を楽しんでいる。発酵についても興味を持ち、勉強して活動している。やっと自分の発信したいことがみつかった。それは周りの人々との出会いとつながりがあったからだと思っている。」
自己紹介の後は6つのキーワードをもとに話しを深めていきました。
大槻:キーワード「連鎖/つながり」について小澤さんはどう思いますか。
小澤氏:卸しのビジネスの世界は縦のつながりが強い。それに対して地域のつながりは横のつながり。いろいろな人と出会う事で「世のなかってこういうもの」ということが実感できた。
大槻:柿本さんの先ほどのお話しで「腹づもり」という言葉がありましたが、よしやろう、と思ったきっかけは?
柿本氏:いろんなことを専業主婦の期間にやってきた。とにかく楽しもうといろんなことをしてきた。その中で自分が「楽しくない」と感じることも知った。自分が子どもの頃、貧しかった。それでチャイルドスポンサー活動に参加。何か本当にやりたいことをやって成功させたい、40代が最後のチャンスだと思った。仕事の家庭の両立なんてできない。でもその状態がずっと続くわけじゃない。自分のライフスタイルを作っていくということだと思う。
大槻:腐敗と発酵って同じだと聞いたことがあるのですが。
三橋氏:現象としては同じです。微生物の行動は同じ。人間にとって有益かどうか。有益な場合は発酵と呼ばれる。人間も同じで住みやすいところに行くと同じ行動でも周りにもよい影響を与えられるのではないかと思う。
市川:意図がどこに向いているのかによって、どちらにもとれる。子育ての中で親ができるのは土壌づくりのみではないか。子育てが腐敗か発酵かは親の見方で決めることではないと思う。
大槻:キーワード「持ち寄り」について。自分が持ち寄っているものは何ですか。
小澤氏:仕事をするうえで、土壌をつくるということが会社ができることだと思う。そして仕事をする場を提供するということ。また自分の子どもが発熱などの病気の時に、わざと職場に連れてきている。飲み会にも。そうすることで社員がやりやすい場を作っている。
大槻:小澤さんにはいろいろな機会を提供してもらっています。
小澤氏:持ち寄りって多様性と感じた。人それぞれ、いろんな人がいる。その人ひとりずつが得意なことを提供しあったら、もっとよい社会になると思う。
大槻:ひとりで全てを完璧にできなくてもいいですよね。
三橋氏:「もえぎ家」のメンバーは持ち寄りあっている。私はPCが苦手だが他のメンバーがサポートしてくれる。お互いがよいバランスでいられる。それが少しずつ広がっていくといいなと思っている。
市川:持ち寄るというときに、知らない・わからない人が集まるという不安もある。コミュニケーションが重要。またその不安を受け入れられる心も必要。
・いろいろやってみる良いと思った
・勇気づけられました。登壇者のみなさんの自己紹介もストーリーになっていて、働くことと人生が一つになっていると思います。
・やりたいことに巡り合えてうらやましい!輝いている!パワフル!
・それぞれの得意を持ち寄り、今の時間や自分を味わいながら自分が発信したいことがみつかるのだと感じました。
・生の話はいいですね。
・機が熟す
・参加することで新しいものが生まれる、繋がる。
・先を考えるのではなく、今できることをすることが未来を創っていくのかなと感じました。
・偶然と偶然がつながって今がある、ということがとても腹落ちしました。
・いろいろな方のお話しが聞けてよかったです。
・「どうしてもやりたい!という腹づもりをしていれば大丈夫」に勇気づけられました。
・企業でバリバリ働くことだけが「はたらく」ではないと、少し腑に落ちました。
・いろんな人の力を借りればいい。
・子どものいる暮らしの中ではたらくというコンセプトにとても共感しました。
・持ち寄りランチも、料理が得意な人は作り、そうでない人はおすすめのものを買ってきたり、皿やコップを用意したりといろいろな形で「持ち寄り」にできるのだと実感できた。自分が思っているより気軽に参加してよいのだと感じた。
・FacebookやサイトでPolarisの活動について知っていたつもりだったが、やはり生で話を聞くことで納得できることがあると思った。
1Fのワークシェア体験の様子
持ち寄りランチ交流会。予想以上に炭水化物が多く集まりましたが参加の皆さんで楽しみながらいただきました。
ランチを食べながらグループごとに交流しました。持ち寄りの楽しさを皆さん感じていただけたようです。
出展も体験しながらトークセッションやランチを楽しむ様子を伺えました
最後に「子どもがいる暮らしの中ではたらくを考える座談会」。お子さんがいない方も参加されて多様な意見が出ました。
多くの方にご参加いただき、”シェア”の意識を共有できる1日になりました。イベントを開催するにあたりご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
「調布はたらき方マルシェ」を冠にいろんな方と連携して”ここちよく暮らし、はたらくことができるまち”を目指していきたいと思います。
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