コロナ禍により、多くの方がテレワークを経験することとなりました。お互いの表情を見ながら会議をし、ランチタイムに他愛もない話で距離を縮めるという機会が減り、コミュニケーションに課題を抱える方も増えているようです。
Polarisでは、テレワーク前提で事業がスタート。現在も多くのメンバーがテレワークをしており、コロナ禍以前も以降も、基本的には同じスタイルで業務を行っています。そこに、コミュニケーションの課題はないのでしょうか?今回は、Polarisの取り組み内容や取締役ファウンダーである市川望美の言葉を参考に、テレワークでのコミュニケーション課題解決のヒントを探ってみます。
テレワークをしていると感じるコミュニケーションの悩みをピックアップし、解決方法のヒントをご紹介します。
A1:着々と普及しているテレワークですが、相手の顔が見えないので、従来の対面型コミュニケーションに比べて不安やストレスを感じる人も多くいらっしゃるようです。一緒にいれば気軽に確認できることも、メールでわざわざ確認するのは気が引ける……と、コンタクトを取らないでいると、「あえて聞くほどではないけど」ネタが積もり、業務の質を落とす場合もあります。
そこで、Polarisでは「雑談」を業務にうまく取り入れることで、日常業務を進めやすくする工夫をしています。
ポイントは次の3つです。
まず「短時間」について。オンライン会議の5分前にオンライン会議ツールにアクセスし、雑談を通してお互いの近況報告をします。今日の気分や、最近あったことなどでもお互いの状況がわかり、コミュニケーションが取りやすくなります。
次に、「プライベートネタ」ですが、雑談の内容は、業務のことではなく、プライベートに関することを話します。そうすることで、親近感がわき、業務のチャット上でも会話がしやすくなります。
最後に「業務時間外の活用」です。PolarisではSNSを通して業務ごとのチームを作ることが多く、同じチームメンバーがSNSで発信することを通して、相互理解を深め、次の雑談のネタにつなげることができます。ただ、こうした実践は、「暮らす」と「はたらく」をあえて混ぜ合わせるスタイルを大事にしているPolarisならではの雑談のコツかもしれません。
新しい生活様式の実践には、新しい暮らし方やはたらき方が求められることでしょう。テレワークのコミュニケーションに悩んだら、改めて「雑談」の価値を多角的に見直してみることをオススメします。
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テレワーク中に「雑談」を織り込む3つのコツ|非営利型株式会社ポラリス|note
A2:在宅時間が増え、パソコンと向き合う時間ばかりが増えると、身体的にも心理的にもストレスがかかります。蓄積されるイライラから、つい家族に当たることもあるでしょう。また、普段だったら見えないはずの(見ないですんだ)姿が見えて、相手にストレスを感じるという話も聞きます。
家族とはいえ、固有の価値観を持っている人同志、コロナ禍という閉塞した時代にどのようにコミュニケーションを取ったらいいのでしょうか。
Polarisでは、リベラルアーツ・ラボ「自由七科」を設け、「他人とともに自由に生きる」ための知恵やスキルを身に着ける研修や勉強会を企画しています。2021年春からはいよいよ「はたらくをアートする自由七科」として、学びの場が本格稼働します。
自分のものの見方や価値観は、本当に自分のものなのだろうかと、改めて自分の価値観を問い直し、他者との関わりを捉え直していきます。すぐに家族間コミュニケーションの課題解決にはつながらないかもしれませんが、自分の内面の声に耳を傾けることは、根本的な解決につながる可能性があります。
家族へのイライラはどこからくるのか?――これを機に、自分の中の価値観を見直してみるのも、家族間コミュニケーションを解決する一つの方法になるのではないでしょうか。
▼共感するポイントがある方は、こちらも併せてご覧ください。
Polarisの学びの場「自由七科」(全5学部)の「自分らしくはたらく学」主催講座
産後はある意味ロックダウン|非営利型株式会社ポラリス|note
A3:テレワークは、満員電車に乗る必要もなく、通勤時間も不要、苦手な同僚に会わなくていいのでストレスが減ったという人もいるでしょう。自宅をテレワーク仕様にして、快適に仕事ができているのであれば、歓迎すべきことのはずです。
Polarisは「ここちよく暮らし、ここちよくはたらく」という言葉を掲げており、事務所兼コワーキングスペースの名前も「cococi」です。ここちよさを探求していると言っても過言ではありません。
しかし、中には「ここちよい」=「生ぬるい」というように感じる人もいるようです。市川の言葉を借りてみましょう。
過去を振り返ると、頑張り屋さんだったり、努力をきちんと積み重ねて行けるタイプの方たちが、努力の先に成果がある、と信じられる人。ゴリゴリやってナンボ、という根性がある人、ヒリヒリする状況が燃える!というタフな人か、そんな人たちからすると、ちょっと物足りない言葉なのかもしれません。*
質問者の方は、努力家で、ここちよくない環境でも努力することで、成果につなげた経験をもっているので、ここちよい環境が不安なのかもしれません。
ただ、一方で、ここちよさを感じることは自分の感覚を信じて選ぶことであり、そこには痛みが伴うこともあるようです。再び市川の言葉を紹介します。
自分の感覚を信じられないと、ここちよさを感じることはできない。自分自身にここちよさを許せない。力を抜いてしまうことが怖いのかも入れない。(中略)だけど、自分の感覚で選ぶという行為は、誰かの感覚によって与えられたものを選ばない・捨てる、ということでもあったりする。そこには痛みが伴うかもしれない。今までいた場所から自分だけ離脱することになって、さみしさや孤独を感じることもあるかもしれない。*
「ここちよさ」を知り、「ここちよくあるために行動」を取ることは、「試される」ことでもありシビアなことではないかと市川は言います。最後にもう一言。
でも、「ここちよさ」は、封印しないでもいい。「頑張り」と併用できる力でもあると思ってる。
「ここちよさ」は、自分の感覚、特に身体感覚に紐づくものなので、「頭」で考えた「正解」にモヤモヤしても、「それってここちいい?」と、自分に問いかけてみることで、頭で考えると出てこないような選択や、自分の中にある正解を導き出すことができるようになるかもしれない。*
*引用元:「ここちよさ」は「ぬるい」のか?|非営利型株式会社ポラリス|note
ここちよさに不安を感じたら、感覚を信じて、ここちよさを肯定していくのも、自分と向き合う一つの方法です。
Polarisは、さまざまな人が新しい働き方、多様な働き方を実践していくための試行錯誤の場を提供するとともに、これまでのやり方や慣習にとらわれず、「自分にとってのここちよさ」ということを価値判断の軸としています。個々のメンバーが、自分なりのここちよい働き方を叶えられることを目指しています。
▼「心地よさ」にモヤモヤしている方は、こちらも併せてご覧ください。
快・不快と心地よさ|非営利型株式会社ポラリス|note
A4:テレワークだと、勤務状況を正確に評価されているか、心配になる部分もありますね。おそらく、従来のように同じ場所で勤務時間を共有できていないことで、本当は評価してもらえることを見逃されるのではないか、などの懸念が出てくる場合もありそうです。
社会で生きていると、少なからず他人の評価を受ける機会があります。「評価されること」や「他人の評価軸にあわせること」に慣れると、人は評価されることに対して不安や不満、ストレスを抱えることが多い一方で、評価されていたほうが楽、という側面も持ち合わせています。
もし、テレワークでの評価に疑問が残るのであれば、セルフチェックをして自己評価を付けておくとよいでしょう。見えない部分でも自分なりの工夫をしていればそれを書いたり、成果につながるプロセスを可視化したりしておくことで、客観的に仕事の成果を整理できます。
Polarisでは、定期的にチームによる振り返りの場を設け、自分自身がPolarisでの役割と業務、そして、組織とのかかわり方について考える場を設けています。役職や業務指示による「やらせる」のではなく、「自分のこの立場、この役割だとこうすることがいいんだろうな」、「状況が今こうならば、こうしていくほうがいいだろう」というように、「おのずとそういう考えが導き出される」流れで進めています。
また、Polaris流マネジメントの一環として「セルフチェック」というものを採り入れています。これは、誰かが評価するのではなく、自ら振り返りチェック(点検)するよう促しています。
「セルフチェック」については以下の三本柱で進めています。
大事なのは、これらのチェックシートを単に書いたことで終わらせず、ワークショップスタイルで発表し、メンバーがフィードバックすることです。Polarisのセルフチェックは「セルフ」だけど、全てのプロセスで一人ではないことがポイントです。
また、セルフチェックで知った気づきによって、自分を取り巻く環境や自分と自分の担当業務の関係をひも解いていくきっかけにもつながる要素もあります。
▼セルフチェックについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
自ずから然り~評価されることからの脱出|Polaris流マネジメント#1「セルフチェック」|非営利型株式会社ポラリス|note
フリーランスが前提の、Polarisのはたらき方ですが、多様なはたらき方が認められるこれからの時代、自分のはたらき方を一歩踏み出したい人の一助となることを願っています。