ここ1年でテレワークが一般的となり、会社以外の場所で仕事をする人も多くなりました。
リゾート地やローカルエリアなど、普段の職場とは異なる場所や環境で働きながら休暇を取る「ワーケーション」にも注目が集まっています。
Polarisは東京都調布市でコワーキングスペース「co-ba CHOFU」を運営しており、約50名の会員様のほとんどが、調布周辺にお住まいです。行動範囲が制限されがちな今、時には気分転換に異なる仕事環境を提案したい!
そこで今回は、co-ba CHOFU会員やスタッフで、あえて「片道30分以内」で新しい仕事環境を見つける企画、「ご近所ワーケーション」の様子をご紹介します。
※本企画は2020年9月~11月に実施しました。
9月中旬から11月までの期間限定で、元そば屋の空き店舗を活用した場「深大寺いづみや」さんにご協力いただき、co-ba CHOFUの会員限定で「深大寺ワーケーション企画」を実施しました。
「深大寺いづみや」さんは、空き家活用に興味がある人が集まったコミュニティのメンバーが運営する場所です。地域に開き、いろいろな方に活用してもらいながら周辺エリアの活性に寄与するのを目的としています。今回は特別に許可をいただき、月に2回、11時~17時にco-baが出張し、会員様に自由に利用してもらいました。(深大寺いづみや)
室内を掃除して、机や延長コードを整えて、11時にオープン。初回は、まだ暑さが残る9月中旬だったので、聞こえるのはセミの声と、車が通る音くらい。まるで遠くの観光地に来たかのような環境で、利用してくれた会員からは「旅に来ているみたい」と、まさに狙い通りのコメントもいただけました。
年季の入った引き戸を開けると、土間と畳の小上がり、そしてカウンター越しに大きな台所が見えます。
それぞれが好きな時間にやってきて、好きな位置に座って、お仕事を開始します。
初回は皆さん落ち着かない様子で、いづみやさんと深大寺境内を行ったり来たりで「バケーション」が多めの印象。厄除けの札を購入したり、周辺を散策したりと、それぞれ楽しそうに過ごしていました。
毎回4~7人ほどの会員様が利用してくれましたが、co-ba CHOFUにいる時よりも会員同士の交流が盛んだったのも印象的でした。開放的な環境と、「働きすぎないゆとり」がそれぞれの心にも、いづみやさんの空間にもあったのが、自然と交流を促したのかもしれません。
会話に花が咲いたと思うと、一気に集中モードに。適度にリラックスと集中ができていたようでした。
終了の17時前になると、その場にいる人たちと後片付けと整頓をはじめて、最後にシャッターを閉めて解散です。
時代を経た建物の隙間は、空間と心に余白を生み出してくれる一方で、蚊の残像が視界に入ることも。気温の変化も感じながらのワーケーション体験に、普段はこうした環境と離れてしまっていたことに気づかされました。
五感も刺激してくれる深大寺ワーケーションの評判は上々でしたので、また機会があれば気候の良い時期に実施できればと考えています。
調布のお隣、稲城市にある遊園地「よみうりランド」にて期間限定で開催していた「アミューズメントワーケーション」を、10月下旬にスタッフ2名で体験してきました。
「アミューズメントワーケーション」は、遊園地の開放的な空間を生かし、“エンターテインメント×ワーク”をテーマに新感覚のお仕事スタイルが体感できる新サービスプラン。(開催期間は2020年10月15日から2020年12月23日までの平日日中のみ、現在はサービス終了、再開未定)
電源やWi-Fiを完備した「よみうりランド内プールWAI」プールサイドの特設スペースに、テーブルやデッキチェアが設置され、非日常空間で仕事をすることができます。このサービスの目玉は、観覧車を1時間貸し切り予約できるというもの。モバイルWi-Fiルーターと電源バッテリーを貸してくれるので、空中散歩をしながらのパソコン作業が可能です。
・よみうりランド「アミューズメントワーケーション」
指定時間に入園ゲートへ向かい、検温後事務所で料金を精算します。ワーケーションに関する説明書等を受け取り園内へ。
ワーケーション用の席が用意されているのは「グッジョバ!!」エリア奥のプールサイド。
しかし、遊園地に来たからには、まずは遊び心を満タンに。
危うくそのまま遊び続けてしまいそうでしたが、なんとかワーケーション特設スペースまでたどり着き、指定のブースに目をやると、そこにはデッキチェアとテーブルが設置してありました。
デッキチェアに落ち着くと、膝にパソコンを乗せて、ようやくワークタイムがスタートです。
BGMは、ジェットコースター方面からかすかに聞こえる絶叫と、園内音楽です。
さて次は、観覧車を貸し切りでワークスペースにできるという大胆なワークタイム。予約時間が迫ってきたので、急いで観覧車エリアへ移動します。
モバイルWi-Fiルーターと電源バッテリーを受け取り、観覧車に1人乗りこみます。
パソコンを取り出し、Wi-Fiに繋ぐなど準備をしている間に、ゴンドラは頂上に到達。景色を楽しんでいると、あっという間に1周が終了し、落ち着かないまま2周目に突入です。
少し風が強く揺れたため、長時間文字を打つ作業には向かなかったことと、ワクワクが勝って仕事どころではなかったため、別の場所にいるco-baスタッフとビデオ通話を始め、3周で下車しました。観覧車でパソコンを開くという非日常を体験できただけで大満足なひとときでした。
遊園地のトータル滞在時間は食事時間も入れて4時間ちょっと。そのうち仕事時間は約1時間と、だいぶ「バケーション」が多めとなりました。しかし、目的は「ワーク」と「バケーション」だったので、遊んでも罪悪感がなく、短時間でしたが作業に集中できたことは手応えアリです。いつもの仕事場と同じペース、同じ量の作業をこなすのは当然難しいので、業務に余裕がある時や、アイデアを育てたい時にこのような非日常空間で仕事をするとよさそうです。
深大寺とよみうりランドという、移動時間が片道30分以内の範囲でワーケーションをしてみました。
どちらも共通だったのが、「普段よりもたくさん歩いた」という点です。特に在宅ワークとなると、外に一歩も出ずに夜を迎えることもあり、運動不足を感じている方も多いかと思います。深大寺ワーケーションでは、調布駅周辺から30分近く歩いてやってくる方もおり、近いがゆえに移動時間を運動時間として気軽に活用しやすい側面がありました。
また、近いのに、まるで遠くに旅行に行ってきたかのような気分転換ができたことも、大きなメリットです。リフレッシュ度合いと、移動距離は比例しないというのが新たな発見でした。30分以内で日常に戻れて、「体への負担」「日々の生活への影響」「移動コスト」が少ないので、大げさな計画を立てなくても気軽に実行できます。
距離の近さは非日常感を薄くしますが、目の前が海、といったリゾート感たっぷりの環境でひたすら一日中パソコンに向かっていたことに気づいた時の虚しさも薄めてくれそうです。
働き方も、働く場所も選べる時代。自分が暮らす街やその周辺で、お気に入りの場所を見つけて「ご近所ワーケーション」を始めてみてはいかがでしょうか。