外から見たPolaris~これからの道~

投稿者:スタッフポラリス

外から見たPolaris~これからの道~

「未来におけるあたりまえのはたらきかた」をつくるというミッションを掲げて、2011年に調布市仙川町で産声を上げたPolaris は、2021年8月20日、創業10周年を迎えました。これを記念して、それまでの歩みを記録した15本の動画と、8月20日の役員5人による動画生配信には、多くのご視聴をいただきありがとうございました。

創業記念の8月20日は20時からの生配信にPolarisとご縁のあるみなさまが参加くださり、多くのコメントを寄せてくださいました。
中でも、Polarisが新たな事業の方向性を示すたびに反応くださったのが、株式会社ニューロマジック代表取締役社長の黒井基晴さん。インターネットの黎明期にWeb制作に関する事業会社を設立し、約25年に渡り事業拡大してきた黒井さんが、Polarisに興味をもってくださったのは、根っこに共通する想いがあったからのようです。会社を約25年に渡り育て上げた方に、外から見るPolarisはどう映るのか、お話を伺いました。

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【お話を伺った方】
株式会社ニューロマジック 代表取締役社長 黒井基晴さんhttps://www.neuromagic.com/corporate/
国際基督教大学教養学部卒業、BBT大学院大学経営学研究科修士課程(MBA)修了。イベントプロデューサーの個人事務所で7年間プラニング、プロデュース、ディレクション業務に携わり、特に90年代前半にはマルチメディアを演出に取り入れたプロジェクトに数多く参画。1994年ニューロマジック設立、現職。インターネット商用化のタイミングより数々のプロジェクトを牽引。(コーポレートサイトより)

【INDEX】

会社を「都市化する」

―黒井さんとPolarisは、代表の大槻を通してご縁があったようですね。

黒井さん:執行役員の藤本が社外人脈との接点が多く、その縁で大槻さんともつながった記憶があります。約5年くらい前でしょうか。そこから、Polarisさんへ仕事を依頼するタイミングを見計らっていて、最近現場からオファーさせていただきました。

―なぜPolarisと仕事をしようとお考えだったのでしょうか。

黒井さん:企業は内部にリソースを抱えていて、その中でプロセスを進めていくものです。でも、僕は社内ですべてのリソースを賄おうとせず、社外リソースの活用やフルコミットではない在り方など、多用な選択肢があっていいと思うのです。

これを社内では「都市化」と呼んでいます。都市には、働く人もいれば、住んでいる人もいたり、立ち寄るだけの人もいたりして、多様な関わり方が出てきます。それがビジネスの多様性にもつながっていきます。企業内部・外部、フルタイム・パートタイムなど関係なく、いろんな組み合わせに対応できる柔軟性を持っていると、市場との適応もしやすくなって、多様なものを内包する「都市」と近い関係になっていきます。僕の場合はベースの考え方がそこにあるので、Polarisさんみたいな在り方は先見性があっていいと思っています。これからそういう企業が増えるんじゃないですかね。

―Polarisを立ち上げた際は、子育て中の女性を中心とした、はたらくことに制約がある人たちが、オンラインやチームという仕組みを使ってはたらけることを目指していました。ただ、ここ数年で時代の変化を感じています。企業の制度が変わり、はたらき方が多様化したことで、子育て中だからという理由で退職する人が減り、はたらくことを継続できる人が増えました。Polarisではたらく人も、他の仕事をしながら、Polarisの事業や地域の仕事に興味をもって選んでくれる人が増えています。

そこで、最近、Polarisが作ってきた「セタガヤ庶務部」という他社の庶務業務をチームでサポートするサービスから、「CoHana」という企業の伴走支援をするサービスへ変更しました。それに伴い、担当するメンバーも、企業に所属している人の副業やスキルをもったフリーランスの人が複業としてはたらくことをイメージしています。

黒井さん:そういう新しい挑戦がいいですよね。自由に、柔軟に市場に適応しながら進んでいくのが個人的には好きですね。

事業を作るってどういうこと?

―Polarisも非常に自由で、役員以外は、事業運営メンバーも業務委託だったりします。ただ、やはり自由である中で企業として成長していくためには「こっちに進もう」という指針がないと、不自由になってくるんです。例えば、新規事業を作っていくにしても、自由過ぎることでとっかかりが掴めなかったりします。

黒井さん:『両利きの経営』という本が流行りましたが、既存の事業を深めていく「深化」と、新しい事業を開拓する「探索」の二つを同時に推進することが重要である、という話です。

僕らは1994年に会社を設立しました。インターネットの商用化は1995年で、当時はインターネットに常時接続する人なんてほとんどいませんでしたし、ダイアルアップ接続だって僕らも含めてオタクしかいませんでした。でも、そこから四半世紀で事業環境は劇的に変化しています。必要な技術もプラットフォームもユーザーのリテラシーも何もかも違う。適応のための努力をしていないと、淘汰されます。既存事業を深めていくための努力がまずは必要ですが、「これだ!」って一つを信じてそれだけやっていたら、半年後には不要になるということが多々あります。そこで、新しい事業を開拓するために「探索」が必要なんです。大きく儲けを出すというよりは、ほどほどの利益でも、次の事業に投資していくことが求められるのではないでしょうか。

―そうした新しい事業開拓は、どのようにして進めるのでしょうか。

黒井さん:中長期で戦略的な幅を設定した中で新しいリソース、プロセス、利益基準のあり方を常に探しています。僕自身が海外のカンファレンスを経て教育プログラムを受けることもありますし、地域に根差したコワーキングスペースで培った人脈を通して、新しい事業のタネを育てて持ってくる人もいます。そういう意味では、好きな場所で働いて社外の人とつながっていくと、会社に来ているだけでは広がらない展開になる。都市化して市場に適応するという意味では、こういう多様性の担保が非常に重要だと思っています。コワーキングやシェアオフィスを活用して、広がりを作っていくことは今後も考えていきたいですね。ただ、出社してチームメンバーと会って仕事を進める方が安心する人もいますから、それぞれの価値観を大事にしたいですね。

はたらき方を選ぶために、「しごとの仕方」を整える

―10周年の動画でも発言がありましたが、Polarisは「はたらき方」をつくると同時に、それを実現するための「しごとの仕方」を模索してきたとも言えます。「はたらき方」自体は、実は個人の価値観に左右されるところが大きいのですが、その多様な価値観に対して、Polarisが提供してきたのは、多様なはたき方が実現できるための「しごとの仕方」でした。今後はこうした、Polarisが今までやってきた「しごとの仕方」を、自ら育っていく人たちの土壌形成の仕方として体系化していきたいと考えています。

黒井さん:面白いですね。「職を見つける」のではなく、その人にとっての仕事の意義や仕方・機能等まで、自分で定義していく方が幸せなのではないかと、個人的には思います。

「ジョブ・クラフティング」という、ひとりひとりが個人的に意義のあるやり方で仕事を定義していく考え方があります。役割を与えられて言われた通りに実行するのではなく、自ら仕事の目的を捉え、リソースを把握し、プロセスを構築し、成果につなげていくのです。
その一環で、社内の名刺の肩書を自分で決めることにしているのですが、「目の前の仕事を自分にとってどういう意義や目線でやるのか」を意識しながら仕事ができたら、全然違うと思うんです。成長スピードを上げるための横断的なフィードバック、アドバイザリーの仕組みや、社内の形式知を短期間に暗黙知として内面化してもらうような「NM Dojo」という社内学校も始めたので、上手に使ってもらいたいと思っています。

自社のバリューに「Be Disruptive」(破壊的であれ)、常識を壊すことを恐れないでいこうという言葉を掲げています(概念的な破壊で、バイオレンスな意味じゃないですよ)。「今までのやり方がこうです」とか「大多数がこうです」って言われたら、だったらそれを壊そうかなって思うんですよね。Polarisさんが目指している新しい「はたらき方をつくる」という、日本社会での今までの女性の働き方への概念を壊そうとしている部分に、共感するものがありますかね。

―Polarisの企業パートナーとしての可能性について、どのように感じますか?
黒井さん:ものすごく幅がありますね。
ある企業の一部の業務のあるプロセスを依頼するというパターンもありますし、プロセスの提案自体をしてもらうというのもあると思います。またはスタートアップ企業で、開発者中心なので、バックオフィスは全部お願いします、というのもあるかもしれない。
相手の企業の最終目的があり、その「領域」、「プロセス」に対して「リソース」をどう配分していくのか、無限の組み合わせがあるので、経営目線で一緒に設計できたらすごいですよね。

世の中でDXと言われていますが、単にデジタル化しているだけで、プロセスは一緒であることが多く、がっかりすることがあります。例えば、バックオフィスのタスクをお願いしたら、「いや、今ならこういうプラットフォームを使って、こういう流れでやると一気にショートカットできちゃいます」って教えてくれたら、嬉しいですよね。

俯瞰して事業と向き合うやり方と、ある領域をタスクとして請け負うやり方と、両方できると面白いと思います。そのうちPolarisがインキュベーターとしてスタートアップ企業に出資して上場させるというのもあるんじゃないですか。アイデアがあれば、ビジネスプランの作成を支援するとか、財務のサポートもするとか、面白いと思います。

―黒井さんの言葉でいただくと、そういったことも実現できそうな気がしてきます。
新しい11年目に踏み出したPolarisは、ここからまたチャレンジが始まりそうです。