役員インタビュー「誰かと共に、ここちよくはたらく未来へ」~創業13周年を迎えて~

投稿者:polaris_iwatani

役員インタビュー「誰かと共に、ここちよくはたらく未来へ」~創業13周年を迎えて~

2024年8月、非営利型株式会社Polarisは創業13周年を迎えました。Polarisは、13期を節目とし、大槻昌美と山本弥和が共同代表へ。取締役ファウンダーの市川望美、取締役の野澤恵美と野村香奈の3名が退任し、経営体制を大きく変更して、14期目を迎えることになりました。

役員変更のお知らせ

なぜ、今、経営体制を変えるのか。これからどのような未来を描いているのか。

共同代表の大槻昌美と山本弥和にインタビューしました。

みんなでつくるPolarisへ

――取締役ファウンダー、市川望美さん、そして、取締役の野澤恵美さんと野村香奈さんが退任され、役員が5人から2人になりました。体制変更の経緯について教えてください。

山本:2022年に設立10周年を迎えた頃から、組織のあり方と社会との間にズレを感じるようになってきました。設立時は出産・育児で離職する人が多く、自分たちもその当事者でした。「制約があってもはたらきたい」という人たちが、ここちよく暮らし、はたらくための仕組みをPolarisはつくってきました。その後、課題はあるものの、出産・育児で離職する人は減少。コロナ禍を機に、はたらき方の多様化が一気に進んだことで、“暮らし”と“仕事”を地続きで考える人が増えました。こうした社会の変化を踏まえて、Polarisも変わらなければならないと考えたのです。それから約2年間、旧役員5人で対話を重ねてきました。

――対話の結果、どのような変化が必要と考えたのですか?

大槻:これまでは、役員5人が中心となり事業を推進してきたのですが、より多くのメンバーで意思決定をしていこうと考えました。具体的には、事業部をまとめる立場のディレクターたちと共に、事業判断をしていく方法です。

ただ、多くのメンバーで組織を運営するためには、共通の羅針盤のようなものが必要です。そこで、2023年に半年掛けて、役員でPolarisのロジックモデル*を作成しながら話し合い、改めて「みんなでつくる組織にしよう」という結果になりました。ライフステージの変化もあり、こうした組織の変化と共に、望美さん、恵美さん、香奈さんの3人が退任し、私と弥和さん2人が残る形となりました。

――みんなでつくるPolarisへと舵を切ったのですね。とはいえ、役員が3人抜けるというのは大きな決断だったと思います。

大槻:残って続けることも、辞めることも、どちらも簡単な決断ではありませんでした。最終的な決断の拠りどころとなったのは、「会社は公器である」ということ。役員5人のもとから巣立つことで、Polarisがより、社会で価値を発揮していくことができると考えました。

山本:組織としての判断の一方で、役員も1人の人間であり、変化し続ける存在です。他にやりたいことができることもあります。体制変更は組織のためであると同時に、役員一人ひとりが個人として、ここちよく生きていくための選択でもありました。私と昌美さんも、ずっとPolarisにいるとは限りません。会社が公器であることは、より持続可能な組織に変わっていくということでもあると思います。

ロジックモデル*…事業や組織が最終的に目指す変化・効果(アウトカム)の実現に向けた事業の設計図。非営利型組織で、社会的インパクトを測るために活用されることが多い。

動き始めた、新生Polaris

――すでに新体制での組織運営が始まっているようですね。

山本:4月に対面で2日間の研修を行い、新体制への移行を始めました。具体的には、役員が持っていた権限をディレクターに委譲し、ディレクター中心の組織体制を構築しているところです。それと同時に、情報システムの見直しも行い、よりはたらきやすい基盤づくりに取り組んでいます。

――ディレクターたちの反応はいかがですか。

大槻:不安もあるかと思いますが、Polarisをより良くしようと動いてくれています。こうした状況ができたのは、これまで事業を率いてきた役員たちのおかげ。誰が抜けても、残ったメンバーが主体的に動き、事業を継承していく風土がつくれていたからだと思います。

山本:課題はまだたくさんありますが、「みんなで解決していこう」という雰囲気を感じます。今のディレクターには、いろいろな人がいます。育児中の女性ばかりではなく、男性もいますし、東京以外に住むメンバーや、Polaris以外の仕事を持っているメンバーもいます。多様な人たちが視点を持ち寄ることで、解決できることも多いのではと期待しています。

誰もが「ここちよく暮らし、ここちよくはたらく」社会へ

――みんなでつくるPolarisが向かう先は?

大槻:まずは、Polarisではたらいている人全員がここちよくはたらけている状態をつくりたいです。違和感があったときに、それを諦めずに発言できる組織でありたいですね。

山本:これまでもPolarisでは、ここちよくはたらくためのさまざまな仕組みを作ってきました。でも、それがうまく機能しない場合もあります。そこをどう乗り越えるかというと、一つは、昌美さんが今言ったように、「おかしい」と思ったことを話せる関係性かどうか。ここちよい組織をつくるためには対話が必要です。ここちよくないと感じたときに、どうしたらここちよくなるのかを考え、一人ひとりがそれを実践できるようになるといいですね。

――はたらき方が多様化するなかで、Polarisの役割は何だと思いますか?

大槻:設立時から、暮らし方やはたらき方を自分自身で選択するため、Polarisのメンバーとは業務委託契約を結んできました。今、いろいろなはたらき方があるなかで、組織に所属しなくても、誰かと共にはたらけることがPolarisの価値であると考えています。組織を離れても孤独にならずに、誰かとはたらくことの楽しさやしんどさを共有することができるのですね。こうした関係性を私たちは「仕事軸のコミュニティ」と呼んでいます。

山本:私は、Polarisではたらいて初めて、誰かと一緒に試行錯誤することの楽しさを感じることができました。はたらいていると辛いこともありますが、それも含めて、一緒に味わえる仲間がいるのが仕事の面白さ。仕事の成果にこだわることは大切なのですが、他人と共にはたらく楽しさを探究することも、はたらくことの1つの側面だと思います。

大槻:誰かと共にここちよくはたらくことは、仕事に限らず、どのコミュニティでも大切なこと。その最小単位は家族。自治会やPTAのような場にも当てはまるでしょう。

私たちが描いているのは、Polarisではたらく人がさまざまな場で、ここちよくあることを体現し、「ここちよく暮らし、ここちよくはたらく」人が増えていくという景色。互いを尊重しながら、誰かと共にここちよくはたらける社会をつくっていきたいですね。


関連記事