このまちに自分の出番を増やそう|調布とくらすふたりの対談

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このまちに自分の出番を増やそう|調布とくらすふたりの対談

「くらすとはたらく」対談企画

唐品 知浩さん 合同会社パッチワークス
リクルートから独立し、複数の事業を軌道に乗せる。まちをリデザインする合同会社パッチワークスでは『ねぶくろシネマ』等を企画・運営。三児の父。

大槻 昌美さん 非営利型株式会社Polaris
非営利型株式会社Polaris共同代表。民間企業を出産を機に退職。子育てひろばで出会ったPolaris創業者の市川さんから事業承継し代表取締役(2016年)。二姉妹の母。

調布のまちをエンターテインメントの場にしてきた唐品さん。調布でコワーキングスペースを運営しながら「未来のはたらき方」をつくっている大槻さん。このふたりが関わり2024年5月から開催している、パッチワークス×Polaris(ポラリス)の合同企画「調布交流会」。とにかくシンプルに「交流すること」だけを目的に始まったイベントについて話を伺いました。

まちの「常連」になる!?

唐品さんは、『調布を面白がる会』など、コミュニティづくりが上手なイメージですが、今回「調布交流会」を企画したのはなぜでしょうか。

唐品 「コミュニティをつくろう」という意識はあまりなくて、まちを好きになるには、知り合いが多い方がいいと思ったんです。知り合いや行きつけの店が増えれば増えるほど、自分のまちだと感じられて、もっと面白くなるのでは、と。現在パッチワークスでは「奥深」(調布市と三鷹市の間に位置する〝奥深大寺〞周辺エリアのまちを形づくる人や営みを伝えていくインタビューメディア)をやっていますが、調布駅周辺での活動もまたやりたいと、交流会を提案しました。
 「あのお店の人なんだ」「そんな仕事をしているんだ」なんて話を聞けると、まちに一歩踏み込んだ気がして楽しくなりますよね。店に通ってもすぐに常連にはなりにくいけれど、店の外で会うと覚えてくれていて、〝常連〞っぽくなれるな、って思います。

大槻 馴染みのあるまちだと思っているけれど、日頃の暮らしでは出会えない人って結構いますよね。まちにいる人の違う側面を知ると、また会って話を聞いてみたくなります。「交流会」がきっかけでco-ba CHOFUのドロップイン(一時利用)に来てくれる人もいました。

唐品 かなりゆるい会にしているので、三鷹や狛江など近隣地域の人も来てくれたりして。「調布あたり交流会」って言った方がちょうどいいかもしれません (笑)。

第1回調布交流会は2024年5月15日に。約2か月に1回のペースで順調開催中

暮らしのそばにある課題に取り組む

地域で人がつながることは、どのような価値がありますか?

大槻 まちや地域って、つながりそうでつながれていません。たとえば『ねぶくろシネマ』のボランティアみたいに、自分の出番があったらいいなって。

唐品 僕は「そもそも」という言葉をよく使いたがるのですが(笑)、まず疑問に思うことが大切だと思っています。そして、それを「いかに面白く解決できるか」をじっくり考えて仕事にしているんです。
地域で働いていると、より暮らしに近いところ……たとえば、妻が地域で不便だと感じていることや子どもの生きづらさのような、自分に近いことの課題が気になってきます。 僕自身、ライフステージの変化に応じて課題も変わってきました。『ねぶくろシネマ』は、子どもと映画館に行きづらいという課題を解決するために考えました。今は老人ホームについて考えています。高齢者向けのシェアハウスやコワーキングスペースもありかも、とか。

大槻 悩みを外に出していって、みんなで考えようとするのも唐品さんらしさですね。最近は自治体が積極的にシニア世代と地域活動の接点をつくったりしていますね。地域に自分の役割や場所があるとやりがいが出てきます。子どもたちにとっても、親族以外の信頼できる人と話すことで社会性が身につきますから、ポラリスなりの機会をつくっていきたいですね。

唐品 地域の課題はひとりでは解決できないですから。子育てを通して地域とつながったりしますが、男性はまだその機会が少なく、地域との接続にはハードルがあります。だからと言って他人から設定されるのを待つのではなく、当事者が自分自身を振り返りながら課題と向き合っていく必要があるのではないでしょうか。自分たちの暮らしに沿った課題に自分たちで取り組む、それが仕事になるっていいですよね。

文 河内志保、写真 石野祐子

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