Polarisでは、コワーキングスペースやシェアオフィスのラウンジなど、さまざまな“場”のコミュニティ形成支援や運営を行っています。今回は、東京建物株式会社との協働プロジェクトである「Loco-cafe OOOI」の事例を紹介します。
東京建物株式会社が、地域貢献事業の一環として、新築分譲マンション「Brillia品川南大井」の販売センターの1階を、地域の人々が利用できるコミュニティスペースとして開放しました。東京建物、Polarisともに初の試みで、他のマンションデベロッパーでも例のない取り組みです。
「Loco-cafe OOOI(オーーイ)」は、“ひとと、くらしと、まちとつながる” “「おーいっ!」って声をかけられる場所”をコンセプトに、南大井周辺の住民同士、Loco-cafe OOOIに訪れた人、南大井で暮らす現在の住民と未来の住民が繋がる場を目指しています。繋がりや新しい出会いがあり、地域に開かれた場所にという願いが込め、”愛着のある地元“を意味する「Loco」を名称に取り入れました。
カフェという名称ではありますが、飲食の販売は行っていません。利用者ともに、この場を育てていきたいという想いから、備え付けのコーヒーマシンやスペースを利用の際に、「ドネーション」(寄付)をお願いしています。
ドネーションは、コーヒー豆の購入やイベント運営費に充て、地域に還元。ほぼ毎月実施している南大井周辺のクリーン活動「ごみひろォーーイ!」も、ドネーションを活用したイベントの一つです。
また、地域のサークルや会合のスペース、地域住民主催の講座やワークショップの会場として、そして、初めて講師デビューなど、地域の小さな起業の一歩を踏み出す“場”としても多数活用いただきました。スペース利用者の交流会実施など、地域での横のつながりを育む取り組みも利用者から好評だった取り組みの一つです。
Loco-cafe OOOIの日々の運営を担うのは、近隣に住む子育て中の地域女性たち。手芸が得意だったり、断捨離が趣味だったり、保育の仕事をしていたり…。この地域に住む“ふつう”の女性がチームとなり、それぞれの得意を生かしながら愛着のある地元で暮らし、働く「Loco-work」を実現しています。
品川12年在住のひろみさんも、そんなスタッフのひとり。知り合いのFacebookからの情報で、たまたま見つけたOOOIスタッフの仕事。地域に開かれた場ということもあり、業務を通して、普段出会うことのない人たちと出会い、知識や経験が増えていく場所にいられることが嬉しいといいます。
マンションギャラリーの1Fという側面からも、購入予定者や販売の方からも、リアルな街の情報を聞かれることもあります。その街に暮らす人にとっては何気ない地域の情報でも、それを必要としている人にとっては重要な情報。「結婚、出産、子育て、合間に仕事のバタバタな12年の品川暮らしで得たものが、誰かの役に立つと思うと、なんだか嬉しいです」と、ひろみさん。彼女たちの日々の暮らしが、人と人、人と街をつないでいるようです。
2018年9月のオープンから1年、皆様のご支援のおかげで、「Loco-cafe OOOI」は、2019年グッドデザイン賞ベスト100に選ばれました。
また、「Brillia品川南大井」が完売となり、販売センターとしての役割は終了となりますが、「Loco-cafe OOOI」は、引き続き、1Fのカフェスペースのほか、2Fのモデルルームや商談スペースも12月まで利用することが可能です。スペースマーケットと提携し、有料にてスペース貸しを行っており、企業のオフサイトミーティングの会場としてや、撮影スタジオとして活用いただいています。
Polarisの場づくり、コミュニティ形成・運営は「半仕上げ」。私たちがすべてをつくりあげるのではなく、その場に関わる人たち、その街の特性など、様々な要素が絡み合いながら、つくりあがるものです。コミュニティ形成における私たちの役割は、コミュニティを支える環境設定。同じものをたくさん、ではなく、半仕上げだからこそ、それぞれ個性のあるコミュニティになる。そして、サービス提供者と消費者ではない、関わる人たちが地域で新しい関係性を紡ぎ合う、そんなコミュニティつくりを目指しています。