「はたらくにまつわるすべての人と考える『なぜはたらく×アートなの?』」―自由七科イベントレポート―

投稿者:スタッフポラリス

「はたらくにまつわるすべての人と考える『なぜはたらく×アートなの?』」―自由七科イベントレポート―

Polarisでは「はたらくをアートする自由七科」として、2021年春に学び事業をスタートしました。 そこで、2021年4月4日にオープンセミナー「はたらくにまつわるすべての人と考える『なぜはたらく×アートなの?』」を開催。梅本龍夫先生をお迎えし、Polaris取締役ファウンダー市川望美と、はたらくとアートについて語り合っていただきました。

「普通」とは何なのか

多様性が求められるようになり、自分らしいはたらき方を模索する人が増え始めました。その流れはコロナ禍で一気に加速したように思います。これらの時流の中で、「普通」の概念が大きく変化していると感じますが、そもそも普通とは何なのでしょうか。まずは「普通」についての語り合いが始まります。

市川私は幼少期から2種類の「普通」の存在を感じていました。それは、自分にとっての普通と世の中にとっての普通です。

梅本先生:後者の「普通」は、社会や所属するコミュニティにおけるモデルストーリー、行動規範だとも言えます。世の中の「普通」が社会の行動規範だとすると、市川さんのように自分にとっての「普通」に気づいている人は、異なる「普通」を押し付けられ、息苦しさを感じますよね。世の中の普通が自分にとっての普通とは違うから理解ができないのです。

「普通」が機能しなくなった社会

梅本先生息苦しさがありながらも、経済が右肩上がりだったころは「普通にしていれば未来はよくなる」という共通認識があり、どうにか普通を受け止めることができたのだと思います。ところが、右肩上がりの時代は終わり、未来が不確実になると「普通」が機能しなくなります。そこで不安を抑えられなくなり、多様性のある社会をつくろうと叫ばれているのが現在です。

ビジネスの世界においても、こうした状況を打破するために、哲学に関心が集まったりしています。論理や科学を積み重ねてきたビジネスにおいても、哲学という新しいアプローチが求められているのです。

市川ビジネスが哲学に回帰しているように、Polarisでは、「はたらく」本質に立ち返り、いかに表現していくかを考えています。内面から湧き出すものを型にとらわれず表現していくことは、アートと捉えられるのではないでしょうか。はたらき方の探求を「はたらき方をアートする」という表現へシフトし、じっくりと深耕していきたいと思います。

最近よくアートとは何かということを考えているのですが、アートにはアーティストと作品を見る人の共同行為という一面もありますね。Polarisでも対話を大切にしたいと考えています。

梅本先生アートというのは非言語なもの。感情を揺さぶられるような身体感覚が非常に大切で、その感覚を探っているうちに自分の本質、「ソース」に気づくのです。1人1人のもつ「ソース」は普遍的で、命あるものなら皆、理解できるものです。対話を通じて身体感覚を探る中で、お互いのソースに触れることができるのではないでしょうか。

小さな物語を包摂する社会へ

市川立教大学大学院時代、梅本先生の元でライフストーリー(物語)研究をしてきました。

その中で学んだのは、多様性を認める社会というのは、社会のモデルストーリーという大きな物語から、1人1人の小さな物語を認める社会ということです。まずは個人が自分のオーセンティシティ(自分自身の中にある「根源的な自分らしさ」)に根ざした物語を見つけることがスタートなのかもしれません。自由七科で最初に開講する本講座も、自分のオーセンティシティを探究するものになっています。

梅本先生会社ではなかなか自分の本質に立ち返ることが難しい人も多いので、自由七科のような場から小さな物語が生まれてくるといいですね。そして、小さな物語をふわっと包み込む、新しい物語が常にアップデートされていくのが理想の社会なのではないでしょうか。

――生きにくさを抱える人が多い時代になっていますが、自分の本質に立ち返り、表現しようという意志とそれを受け止める場があれば、新しい物語を紡ぐことができそうです。


梅本龍夫(うめもとたつお)

iGRAM代表取締役 物語ナビゲーター
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授
立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

市川望美(いちかわのぞみ)

非営利型株式会社Polaris取締役ファウンダー・ファンドレイザー
NPO法人Loco-working協議会代表理事
立教大学社会デザイン研究所研究員

本講座「オーセンティック・ライフキャリア講座」5月1日開講!

「ねばならない」という、外側にある価値観やプレッシャーに対抗するのではなく、自分の内側にある価値観を探求し、「オーセンティシィ=根源的な自分らしさ」を育むこと。その自分らしさを軸に、のびやかに、生き方やはたらき方を創っていくこと。

どこにいても、誰といても、何をしていても、自分らしさを表現できる感性と力を得ること。

それが「オーセンティック・ライフキャリア講座」の目的です。

今回のオープンセミナーでピンと来た人はぜひ詳細ページをチェックしてください。

https://authentic-life-career.peatix.com/