特定非営利活動法人CRファクトリーの会員制オンラインコミュニティ「コミュニティ・ラボ」にて、ラボ内限定イベントとして開催されている「プレミアムコネクトーク~ゲストとコミュニティを語らう夜~」。
3月19日(火)に開催される第3回のゲストとして、弊社取締役ファウンダーの市川望美が登壇します。
「プレミアムコネクトーク」の詳細については、こちらをご覧ください。
「プレミアムコネクトーク」は会員制オンラインコミュニティ「コミュニティ・ラボ」内限定のトークイベント(期間限定アーカイブあり)です。
会員の方はどなたでもご参加いただけます。
※2024年1月~3月の期間は、コミュニティ・ラボOPEN期間特別キャンペーンとして1,000円(税込)でご参加いただけます(~3/19(火)22:00までにご加入ください)。
CRファクトリーが開設する会員制オンラインコミュニティ「コミュニティ・ラボ」は、コミュニティに関する知見に触れながら同じ境遇・関心の仲間と出逢い、自分をアップデートしていける会員制のラーニングコミュニティです。
上布田商栄会は調布駅北側を中心にした約130店が加盟している会員数の多い商店会です。
その中で会長の田中和己さんは、商店会運営のための会合開催、資料の作成、会費の請求書・領収書対応、イベントの計画・実施など多岐に渡った実務を対応されてきました。また、各店舗に配付する資料も、会長や役員の皆さんが手渡しで各店舗に配っていたとのこと。ご自身の事業も行いながら、特定の方が商店会のために多くの時間を確保している現状――。利用者である私たちも何かできることがあるのではないかと、Polarisで一部の業務をサポートさせていただくことになりました。
まずは人手が必要な商店会各店舗への資料配付をお引き受け。上布田商栄会で作成された配付物を、商店会リストの通りに店舗へ配布していく業務です。Polarisでは、早速ディレクターと2名のメンバー(調布市在住)でチームを作成。リストの住所を元に配布ルートを検討し、効率よく配布できるようにとスタートしました。しかし、始めた当初は店舗が見つからず付近をさまよったり、開店時間前や定休日のため再訪せざるを得なかったりと、試行錯誤が求められたことも。ただ、商店会運営側とは異なる第三者の視点で地域を見ることで、リストにある店舗の閉店や移転を改めて確認することができ、上布田商栄会の会員管理を整理することにもつながりました。
特に、コロナ禍では臨時休業中の店舗が複数ありましたが、地域で暮らしているからこそ把握できる情報をチーム内で共有し合うことで、細かい変化にも気がつくことができたのではないでしょうか。
2022年度からは年に1回実施される福引きイベントの福袋作成、2023年度からは上布田商栄会会員の方々への会費請求書・領収書の作成も行っています。
福袋作成では、資料配付業務の経験により得られた各店舗の様子や、商店街利用者としての視点から景品をセレクトさせていただき評判も上々だったようです。
また、2023年度にはPolarisのメンバーが上布田地区の御神輿にも担ぎ手として参加し、地域の一員として、まちの賑わいに加わることができました。
Polarisでは、「ロコワーキング(Loco-working)」という言葉を使い、「暮らす」と「はたらく」が、愛着のある場所でつながることを大事にしています。
「愛着と誇り」を持って、自分の生活からの視点や、そのまちにある資源を活用して創り出す仕事。
そのまちに住んでいるからこそできる仕事、自分の暮らしからの経験そのものが価値になる仕事。
人を活かし、まちの資源を活かし、まちに新しいつながりを生み出したり、まちを活性化する仕事。
これらがすべて「ロコワーキング(Loco-working)」です。
上布田商栄会での業務は、まさに「ロコワーキング(Loco-working)」を体現できている大事なものになっています。地域に住んでいるからこそ細かな配慮や気づきがあり、配付物を持ってまちを歩いたり、自転車を漕いだりしながら、まちを活性化するお手伝いができていることに、大きな充実感を持っています。
温かみや活気があるまちであり続けるために活躍されている上布田商栄会と一緒にはたらいていくことで、チームもPolarisも地域への愛着と誇りが深まっています。こうした機会をいただくことが、まちの人や資源を活性化することにつながっていくと強く感じています。
当商店会の課題の1つに「役員の負担の重さ」や「それによる役員就任の敬遠」があります。
役員1人あたり10件ほど担当していた商店会資料の配布作業をPolarisさんに委託することで、役員の負担が軽減されただけでなく、必要な時に必要な情報を商店会員に届けられるようになりました。
きめ細かく仕事をされる姿を通してPolarisさんへの信頼が生まれ、今では会計担当の大きな負担となっていた、会費の請求書や領収書の作成もお願いしています。来年度からは会費の集金を廃止し、振込集金とするため、請求書の郵送業務も依頼する予定です。
地元の主婦の方も多いPolarisのスタッフのみなさんは、当商店会にとって業務の委託先であるだけでなく消費者でもあります。なんとなく入りづらく、今まで買い物をしたことのないような個人店と関わりを持つことをきっかけに、会員事業所のお客様になっていただけ、お知り合いへのご紹介などにもつながっています。イベントの福袋も「楽しく作っています」との話を聞き、Polarisさんにお願いして良かったと、大変うれしく思っています。
1月のランチタイムセッションは、「ケアとコミュニティ」をテーマに対話。Polarisの組織づくりにおいて、「共にケアし合うことを大切にしている」ということを話しました。一方で、他者をケアするためには、自分がすこやかである必要がある、という話題も。そこで、2月のランチタイムセッションでは、セルフケアについて掘り下げます。
自分がすこやかでいるためには、もちろん休息が必要です。しかし、「いくら寝て身体を休めても、元気が出ない」ということを経験している人も多いのではないでしょうか。睡眠だけではなく、運動したり、友達と会ったりすることもまた、休むことの一部。休む方法もさまざま。それに、何が休息になるかは、人によって違うのです。
日常的な休息のほかに、時には立ち止まることも必要かもしれません。Polarisでも、リトリートをテーマにしたワーケーションを長野県飯綱町や福岡県東峰村で企画してきました。こうした非日常の休息もまた、長い視点で見ると大切でしょう。
上記のことを起点に、自分をケアするとは、どういうことなのか?
すこやかな自分とはどんな状態なのか?
話してみたいと思います。
参加メンバーは、山本弥和(Polaris取締役)、市川望美(Polarisファウンダー/取締役)、吉牟田希里子、武石ちひろ(ともに自由七科研究員)の4名。
ランチを食べながら、画面オフで聞くだけでもOK!ぜひお気軽にどうぞ。
日時:2月27日(火)12:00~12:50
オンライン開催
参加費:無料
定員:20名
非営利型株式会社Polaris(★令和元年度 東京都女性活躍推進大賞 地域部門大賞受賞)
学びのコミュニティ「自由七科(じゆうしちか)」
非営利型株式会社Polarisが運営する学びと探究の場。
変化の時代の中で多様な人とつながりながら、一人ひとりがここちよいと暮らしかたやはたらき方を実現するための対話の場をつくっています。
朝日新聞の運営するウェブサイト「telling」に市川望美のインタビューが掲載されました
柔軟な働き方を選べる社会を目指すPolaris市川望美さん。「シゴト軸のコミュニティ」も構築
お申し込みはこちらから
2024年1月16日、Polarisは福岡県東京事務所主催のワーケーション創出プロジェクトのプレゼンに参加し、審査員特別賞をいただきました。Polarisの事業創生チームにて「企業×地域の連携でワーケーションプランを創って“お中元・お歳暮”として贈ろう!」というユニークなテーマに、昨年秋エントリー。今回のプレゼンを経て受賞となりました。
地域イノベーションを事業の一つとし、旅するように全国各地のイノベーションに関わってきたPolaris。今回は「自分を耕す旅~休息と回復のワーケーション」をプランニング。訪れた福岡県東峰村の美しく心落ち着く環境や豊かな文化体験、交流させていただいた人々との時間等で得られたものを、ゆらぎの多い「はたらくミドル女性」に贈ろうと、2泊3日のプランにまとめました。東峰村に滞在して、まずはゆったり休息と回復を。次に、人生を動かすヒントや、新しいキャリアのきっかけを見つけて、人生を再起動するような旅を提案し、24社がエントリーする中、大賞1社、審査員賞3社の一つに選ばれました。
作成したワーケーションプランは、福岡県市町村が他企業へモデル例として紹介のほか、ふるさと納税の返礼品として関係人口づくりに活用の予定です。
【審査員】
・ADDress代表 佐別当 隆志氏
・Lancers(ランサーズ) インキュベーション推進室 一般社団法人日本ワーケーション協会 公認ワーケーションコンシェルジュ 篠原 智美氏
・福岡県東京事務所 副所長 徳本 裕子氏
「福岡県テレワーク移住体験・ワーケーション促進宣言」を行いました
「地方創生テレワーク推進運動 Action宣言」を行いました
「休息と回復を認め合う社会へ」supported by EVEに取締役 市川望美が登壇しました
自分が本当に大切にしたい暮らし方と、はたらき方とは?
100人100通りの感じ方を大事にし、「ここちよく暮らし、働く」という問いから多様な答えが共存できる方法をみんなで考える座談会。
コロナ禍は、私たちのはたらき方を一気に変えました。一方で選択肢が増えた分、何が自分の望むことなのか迷ってしまったり、選択できないことを自分の弱さと捉えてしまったりする声も聞かれます。
変化の時代の中で、惑うことは当たり前。この座談会では答えを出すことではなく、対話することを目的としています。他者の多様な価値観に触れながら、自分が本当に大切にしたい「暮らしかた」「はたらき方」を考えてみませんか?
「子どものいる暮らし」とタイトルにありますが、このテーマを起点に、多様な立場から、それぞれのはたらき方を考える座談会です。子育て中の女性だけではなく、男性や学生、独身の方、どなたでも大歓迎です。
日時:2024年2月19日(月)10:30-12:00
参加費:500円
定員:5名
※お子様連れでのご参加も歓迎です。
コワーキング&ギャラリー COMMUNE BASE マチノワ
〒194-0021 東京都町田市中町3-10-6
(経路)
小田急線町田駅北口から徒歩10分。中町交番から徒歩4分、町田税務署と町田高校の中間点にあります。
タイムズ町田中町第15手前を右折してすぐ。玄関脇の大きなハナミズキが目印です。
学びのコミュニティ「自由七科(じゆうしちか)」
非営利型株式会社Polarisが運営する学びと探究の場。
変化の時代の中で多様な人とつながりながら、一人ひとりがここちよいと暮らしかたやはたらき方を実現するための対話の場をつくっています。
町田市中町にある、コワーキング&ギャラリー COMMUNE BASE マチノワにて、 2021年にスタートした、 “町田に暮らし、町田ではたらく女性のための応援プロジェクト”です。
参加者多数の為、受付は終了いたしました。
下記のPeatixのページからお申し込みください。
※「子どものいる暮らしの中ではたらくを考える座談会」とは何なのか、開催のきっかけや想いなどをnoteに記載しています。
「子どものいる暮らしの中ではたらく」ということについて考える座談会
※町田座談会の様子はこちら
【座談会レポ】私のここちよさを見つめる場
※PolarisのSNSもチェックしてもらえると嬉しいです。
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2023年10月30日(月)にサイボウズ株式会社で実施された「NPO事業承継サミット2023」において、非営利型株式会社Polaris創業者の市川望美と2代目代表取締役の大槻昌美が登壇しました。創業者である初代と事業を継いだ2代目、それぞれの視点を通して女性中心型組織における意思決定や代表交代について語りました。
本日のモデレーターは、Polarisも長くお付き合いさせていただいているサイボウズ株式会社ソーシャルデザインラボの渡辺清美さん。大槻からPolarisを紹介の後、市川からPolarisの創業のきっかけと代表交代に至った経緯を説明しました。
大槻:Polarisは、“「未来におけるあたりまえのはたらきかた」をつくる”をミッションに掲げ、誰もが暮らしやすく働きやすい社会の実現を目指し、多様な働き方を実現するための事業に取り組んでいる会社です。ワークシェアコミュニティや地域コミュニティの立ち上げから運営支援、ミドルシニア世代の働き方支援など、幅広い活動を行っています。
Polarisには経営メンバーが5名、業務委託メンバーが約200~250名在籍しており、プロジェクトごとに契約を結んで働いています。Polarisの組織運営にもプロジェクトとして関わるメンバーが20名ほどおり、フラットで対等な関係性を大切にしながら、顧問の社労士さんや弁護士さん、税理士さんなど専門家の方に支えられて活動してきました。
暮らすことと働くことが愛着のある場所で調和し、心地よさを感じられる状態。――それを実現するために、地域に住んでいるからこそできることや自分自身の経験が価値になることを「シゴト」にしてきたのがPolarisです。
立ち上げ当初、「地域×女性×働く」を掲げると、「ボランティア」というイメージが強く、それを払しょくするために新しい働き方を表現するコトバが必要でした。そこで、「Loco-working(ロコワーキング)」(ローカル×コワーキング)という表現を用い、愛着ある場所で暮らし働くことに名前と価値を託していきました。さらに、Loco-workingを通してつながる人との関係を「“シゴト軸”のコミュニティ」と呼んでいます。
市川:Polarisは2012年に、私と大槻昌美、山本弥和の3人で立ち上げた会社です。利用者として産育休中に通っていた世田谷の子育て支援のNPOに、いい意味で、半ば巻き込まれるようにスタッフとなり、自分たちで必要な支援をつくってきましたが、徐々に子ども子育てから、女性のキャリアや働き方といったテーマに、より関心が向かうようになりました。そこで、内閣府のビジネスプランコンペに採択されたのをきっかけに、山本と大槻に声をかけて創業しました。その頃から、次の代表交代がPolarisの成長に重要だと感じて、組織の発展と多様性を促進するためにも、3〜5年での代表交代を考えてはいました。
ちなみに初代と2代目では、経営のスタイルが真逆なんです。私は「俯瞰して物事を考える」のが得意で、「経営に関心がある」のが個性でありスキルなのかなと思ってます。一方昌美ちゃん(大槻:以下同様)は、現場で仲間と一緒につくっていく「チーム起業」のような環境で力を発揮できる、という個性を持っています。
そうした昌美ちゃんの個性を考えても、創業者のビジョンによるトップダウン型のリーダーシップ経営はフィットしません。フォロワーシップを大事にし、全員が自由に意見を述べられて関わりやすくなる、フレンドリーかつサーヴァントな環境をつくることが、Polarisの第二創業を達成する上でもすごく重要だと思っていました。そうした環境を率いるには昌美ちゃんの個性が最適でした。このような背景から、組織変革の一環として代表交代を選びました。
経営面では実績があまりなかったからこそ、Polarisが掲げるミッションやビジョンの賛同者を増やして世の中に問いかけることを「市川代表」期で行ってきました。対して代表交代後の「大槻代表」期は、事例や実績も蓄積されてきて、ビジネススキームが固まりつつある時期に、大事な融資を受けたり大手企業と連携したり、顧問の税理士に組織基盤を見ていただいたりと、ビジネスの基盤強化を図ってきています。
ここで、初代市川代表から大きなバトンを引き継いだ2代目大槻代表が、2代目ならではの苦悩を語りました。
大槻:望美さん(市川:以下同様)から引き継いだ当時(2016年10月1日に代表交代)は、Polarisの会議に出るのが本当に怖かったんです。望美さんは今でも、「Polarisのカリスマだね」って言われます。そんな望美さんと同じような「代表」を、周りから求められてるんじゃないかと思い込んでいたので、2019年くらいまでとにかく苦しかったんです。でもみんなと一緒に現場を感じたり、関わってくれるみんなを支えることだったら私はできる。望美さんと同じになる必要はないし、そもそもなれないことを理解してから、スッと楽になりました。今では、私がやりたいことを話すと、ほかのメンバーから「あとは私たちが考えるんで」と言われてしまいますが、みんなに手をかけてもらえる余白が生まれるので、これでよかったんだと思っています。
対して初代市川は、創業者ならではの苦悩と、その後に初代と2代目が下した大きな決断について語りました。
市川:先代は先代で、いろいろ苦悩がありまして。カリスマだと言われるのが本当に嫌だったんです。
ふたりそれぞれに葛藤していく中で、組織の大事な時に私たちは逃げ場所を作ったんですね。昌美ちゃんは子どもの小学校のPTA会長に、私は大学院生にそれぞれなりました。大学院を選んだのは、みんなが立ち返る場所になるためにもちょっと遠くの世界を見てこようと。きっとこの経験はいずれ、Polarisの役に立つだろうし、私が今見てきている新しいビジョンが必要とされる時がくるんだろうと。苦悩を乗り越えるために選んだ工夫でしたが、大事な時だからこそ、他の居場所を持っておくことが自分自身にとっても大事だなと当時を振り返ってみて思っています。
最後の質疑応答では、サイボウズの渡辺さんが代読する形で、大槻・市川に寄せられた、参加者からの質問に答えていきました。代表交代に関することはもちろん、組織の定義を問うものから経営スタイルや事業縮小など、Polarisの経営に関することまで幅広いジャンルの質問をお寄せいただきました。
Q.女性中心型組織ということでしたが、実際に組織やお客様にはどれぐらい女性がいらっしゃるのでしょうか。
大槻:業務委託のメンバー約250人いるうち、男性メンバーの方は10人弱ほど。あとはほぼ女性です。クライアントさんに関しては性別に関わらず一緒にお仕事させていただいてますが、立ち上げ当時はどちらかというと男性の方がPolarisを応援してくれることが多かった印象です。
Q.大槻さんは現時点で継承を考えていらっしゃいますか。
大槻:具体的に何年後どうするというのは決まっていませんが、Polarisという組織の存続のためにも代表交代はすごく必要だと感じています。そういう話も含めて、半年くらい前に、経営メンバーで今後のPolarisの話をしました。
Q.第3フェーズはどんな成長段階を担っていくか。事業縮小のフェーズなども考えていますか。
大槻:Polarisの事業も組織自体も、その時々で変わっていくんだと思います。今経営メンバーと話しているのは、今後のPolarisの経営スタイルですね。どんな形が今の私たちに最適なのか、心地いいのかを常に考えています。実現できるかどうかはさておいて、さまざまな人たちに経営に関わってもらうためのアイデアはたくさんあります。もし我こそはという方がいたらぜひ、Polarisに関わっていただけたら嬉しいと思ってます。
Q.創業時点で描いていたビジョナリーな代表交代を実現させるのは、なかなかできることではないという印象です。それを可能にした要因は何だったのでしょうか。女性中心型組織であることは成功要因に関係しているのでしょうか。
大槻:今聞かれて改めて考えてみましたが、例えばパートナーが転勤するとか、家族が増えるとか、女性はライフスタイルの変化に合わせた対応が求められがちで、将来の予測をしにくい点があります。さらに女性中心型の組織で不安定な働き方をしている私たちにとっては、ビジョナリーこそ必要だったりします。VUCAの時代が追い風になっていると思います。何かを変えること自体は必然だったのかもしれません。また、今までは稼いだものを分配するスタイルでリスク回避していましたが、これから先もずっとPolarisに関わりたいと思ってくれる人に提供できる選択肢を増やすために、経営規模の拡張は大事だと感じています。
Q.早めに代表交代しようと思ったきっかけは何ですか。
市川:最初のきっかけ自体は思い出せないのですが、子育て支援のNPOにいたときに代表交代が難しい様子を見ていて、そこを上手くやりたいと思っていたのはあります。
また、Polarisが次のフェーズに進むためには、みんなにとってPolarisがもっと自分ごとになる必要があると考えていたし、創業者がいつまでも引っ張るような形ではだめだと思い、3年から5年で代表は交代すると決めていました。
Q.組織の運営にあたりルールやマニュアルがありますか。
大槻:Polarisって優しい組織だという印象を持たれるのですが、ゆるいわけではなく、仕事のクオリティはしっかり担保しており、そのためのルールやマニュアルがあります。また、「こころえ」という行動規範を文章化したものがあり、業務にどういう姿勢で関わるかという指針を示しています。創業の頃につくった「Polarisの11のキーワード」というものもあり、それらのキーワードに対して自分たちがどう体現できているかを振り返る仕組みもありました。ルールやマニュアルって言うとガチガチに縛っている感じがしますが、どちらかというと組織との関係性を見つめ直す手引書みたいなイメージです。
Q.2代目大槻さんになられて、ある意味ビジネスになってきたとのことですが、それに対して初代市川さんは違和感を覚えることはありましたか。
市川:違和感よりも「こうすればいいのにな」という、社会的意義といった点での物足りなさのほうが近かったかもしれません。でもPolarisというコミュニティへの信頼があって、難題があっても、上手く乗り越えたらいいな、いや乗り越えなきゃいけないなっていう想いも抱いてました。
Q.組織の定義をどのように捉えていらっしゃるのでしょうか。
大槻:「組織」は、誰かがつくった枠ではなく、みんなで0から作っていくものだと思っています。だから楽しい。それがなくなったら、組織を作り上げる価値が薄れてしまいます。最近は働き方もいろんなスタイルがあるからこそ、あえてPolarisを選んでもらいたいと思っています。組織があることで、一度離れても誰でもいつでも戻ってこれる、大きな家族みたいなものです。
市川:人によって捉え方がさまざまかもしれませんけど、私たちにとってPolarisはみんなのサードプレイス的なものであり、安心して乗っかれる基盤のようでもあり……。シゴト軸のコミュニティという言い方もしていますが、組織という意味では多分皆さんが捉えるよりもPolarisは自由度が高いかもしれません。
Q. Polarisでは、事業部ごとにバラバラにすることを考えられた経験はありましたか。
大槻:実は事業として一つ別の方にとか、NPOと株式会社2つを立ち上げたいとか、NPOと株式会社とホールディングスか何かで3つに分けようみたいなアイデアは、これまでもありました。フルタイム雇用をしていたら、多分そうはいかないかもしれませんけど……。
いろいろ考えた結果、ミッションもビジョンも重要だし、将来的にはこの事業を一本化する判断を下すかもしれませんが、全体を通して「Polarisであること」を表現したいという想いで、今のような形になりました。「Polarisに関わること」が仕事を選ぶポイントの一つになり、関わるメンバーによってPolarisの捉え方も変わってくるんじゃないかなと思います。
市川:一緒にやってきた人と別れるという観点で言うならば、Polarisには「待たないけれど、決して見捨てない」という言葉があり、組織から離れる選択を尊重しています。一度離れて戻ってきた経営メンバーがいるくらいなので、続けることだけが正解じゃないなとも思うんです。一緒にできない時はできないので、お互いの選択を尊重できればいいなと。「またいつか、ともにできることがあれば是非やりましょう」みたいな、ちょっと余白を残したお別れの仕方ができるとハッピーですよね。
Q.Polarisさんって心地のいい場所を作りながら事業をやってらっしゃったと思うんですけど、そういう場所は実際いくつくらいあるんですか。また、全国各地の案件はどんな形でお話をいただくことが多いのでしょうか。
大槻:現在全部で約10箇所ですね。Polarisの実績を見て相談をいただくこともあるのですが、全国のいろいろなところにつながりのある人がいるので心強いです。
市川:きっかけは講演やセミナー、ワークショップが多いですね。女性活躍推進をテーマにしているところもあれば、子育て支援がテーマのところ、移住定住支援、テレワーク、ワーケーションなど本当にいろいろなテーマで声をかけていただきます。福岡の糸島や徳島のケースだと、地域でコワークシェアをしている人たちにセミナーの講師として招かれ、翌年は予算がついたから一緒に活動をする、ということがあります。創業時は日本財団さんなど社会的な中間支援機関に話を持ち込んで、こうした拠点を整備すること自体をPolarisの事業にしたいと考えていた時期もありました。
Q.出会った頃から「自分たちの活動を横展開していくんだ」とおっしゃられていて、今お話を伺っていると本当に着実に活動を積み重ねてきてらっしゃることを実感します。
大槻:私たちは、ただ自分たちがどこかに行って何かをするのではなく、その場所の人々と共通の価値観や精神を共有できればいいなと思っています。活動が終了したらそこで終わりではなく、現地の文化や方法を尊重しつつ関係を維持できたらいいですし、その地域の人々を常にサポートしたいです。一緒に取り組めるプロジェクトが残れば素晴らしいなとも考えています。
Q.運営メンバーに雇用してる人はいないのですか。
大槻:現時点でPolaris運営のメンバーにも雇用している人はおりません。今後雇用するメンバーも生まれてくるかもしれませんが、業務委託にも雇用にもそれぞれメリットがあるので、そのあたりはミックスできたらいいのかなと思っています。
最後に、大槻と市川から、参加者にメッセージを伝えました。
大槻:望美さんが今もファウンダーとして組織に関わっていることは、Polarisにとっても大きいと思っています。組織を維持するために事業運営に注力した時期もありましたが、「それ、Polarisじゃなくてもいいよね」と存在意義を考えるまでになってしまいました。最近は運営メンバーから「立ち上げ時のストーリーを話してほしい」と依頼されることがあります。望美さんからみんなに「想い」を話してもらうと響き方が違います。
一方でPolarisはチーム経営であり、全員が業務委託という新しい形の経営にチャレンジをしているので、タイプの異なる経営メンバーが違うやり方で同じ目標に向かっています。Polarisの今後が私自身の変化も含めて楽しみですし、「大変な思いもするけど、せっかくやるなら、自分自身も楽しみたい」というポリシーを大切にしていきたいです。
市川:代表交代が持つ力はすごくありますが、何のためにするのか、目的を明確にしないといけないと思ってます。組織の形を大胆に変えやすいし、変化に向けた意気込みやビジョンを組織の内外に印象づけることもできます。Polarisは「心地よさ」を大切にした経営をしているので、代表交代は新陳代謝という点においても必要でした。
いろんな創業者やNPOの初代代表理事に「早くファウンダーというポジションに行ったらいいですよ」って結構よく言ってます。NPOはどこも、創業者の想いから作られているので、創業者なりにこだわりや大事に思っているところがあるのはすごく分かります。しかし創業者や代表者が取る選択って、組織に与えるインパクトはすごくあるんですよ。組織の代表交代の節目にいる方は、自分たちが何のために、何を守りたくて代表交代したいのか、どこを目指すのかを丁寧に話し合ってもらえたらいいなと思います。
関わる全ての人たちにとっての「心地よさ」を大切に、活動を続けてきたPolaris。組織の発展と持続性のために成し遂げた代表交代は、さまざまな苦悩や葛藤、試行錯誤を経て、個性を活かしつつもしなやかに、時代の変化に対応する現在の経営スタイルを確立しました。
これからもPolarisは、いろいろなメンバーを受け入れつつ、「チーム経営」で組織を運営するとともに、いろいろな働き方の選択肢を作るための事業に取り組んでいきます。
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2023年10月26日(木)に開催された、エスエス製薬株式会社主催の「休息と回復を認め合う社会へ」supported by EVEに、取締役ファウンダー市川望美が登壇しました。
市川はイベントの第1部にて、Polarisが事業を進めるうえで大切にしてきた「ここちよく暮らし、はたらく」こと、そして解熱鎮痛薬ブランド『EVE(イブ)』の休息と回復に関する考えや共鳴する想いについてお話するとともに、前年度エスエス製薬との共催で実施したセミナーや座談会についてご紹介させていただきました。
菜々緒さん、カズレーザーさんが登壇!EVE(イブ)が目指す「休息と回復を認め合う社会」について一般参加者と熱く考え、語るイベントを開催!
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女性にとって出産がキャリアに与える影響は計り知れません。さらに、子どもにもしハンディキャップがあったとしたら?
今回ゲストにお呼びするのは、ネイリストの石野有紀子さん。高校生の息子さん、げんちゃんには知的障害があります。超未熟児で生まれたげんちゃんは、小さなころは入退院を繰り返していました。成長も周囲と同じようにはいきません。「もう自分らしくはたらくことはできないのだろうか」と思っていた有紀子さんですが、Polarisとの出会いをきっかけに、ネイリストの資格をとり、いまでは調布市にある古民家「もえぎ家」でサロンを開くまでになりました。
さらに、2022年8月より、げんちゃんと書字障害を持つ高校1年生の美音(みお)ちゃんが営む不定期開催のカフェ、「マイペースカフェ」の活動をスタート。凸凹があっても自分らしくはたらくことができることを体現し、思いもよらなかった化学反応が起きているそうです。
「小さい頃は振り回されていると思っていたけど、今は息子に導かれてきたのだと感じる。」と有紀子さん。
今回のランチタイムセッションでは、制約の中で自分らしい働き方をつくることや、多様な人が互いを活かし合う働き方について考えます。
前編となる10月は、石野有紀子さんのネイリストになるまでのお話やお仕事に対する考え方について話を伺いました。11月の後編では、マイペースカフェのお話や最近の福祉関連に関する活動についてお話を伺います。
ランチを食べながら、画面オフで聞くだけでもOK!ぜひ気軽にどうぞ。
日時:11月14日(火)12:00~12:50
オンライン開催
参加費:無料
定員:20名
石野有紀子
たまリバ ネイル主宰(ネイリスト)
ネイリストの傍ら知的障害を持つ高校2年生の息子、元輝(ゲンちゃん)を育てている。
書字障害を持つ高校1年生の美音(みお)ちゃんと息子の二人で「マイペースカフェ」の活動をスタートする。2022年8月30日夏休みの終わりに「しばさき彩ステーション」の第1回から始まり先日の2023年10月1日のフリーマーケットの出店で7回目となる。
コミュニケーションに課題のある二人が喫茶を提供するという事が、コーヒーを囲む人間関係の中に化学反応を起こしていく事に気づき、この活動を様々な場面で活用して行きたいと考えている。
非営利型株式会社Polaris
はたらくをアートする「自由七科」
自由に生きるための知恵に出会うリベラルアーツ・ラボ
非営利型株式会社Polarisが運営する学びと探究の場。
変化の時代の中で多様な人とつながりながら自由に生きること、その人がその人らしくあること、仕事とその人がより近づき、自分が心地よいと思える暮らしかたや働き方を実現するための学びや探究を行うラボです。
お申し込みはこちらから