【参加レポート】市民活動サポートセンターいなぎ主催「世代循環型のNPO~事業承継と世代交代の仕組みづくり~」

投稿者:sekiguchitomomi

【参加レポート】市民活動サポートセンターいなぎ主催「世代循環型のNPO~事業承継と世代交代の仕組みづくり~」

2024年3月20日(木)、市民活動サポートセンターいなぎ主催の講座において、「世代循環型のNPO~事業承継と世代交代の仕組みづくり~」と題して、非営利型株式会社Polarisファウンダーの市川望美が講演を行いました。その様子をレポートいたします。

活動・事業を次のステージに移行するには?

市民活動サポートセンターいなぎは、市民活動を推進するための拠点施設でもあり、市民同士、市民活動団体同士がお互いに協力し、稲城のまちづくりに貢献すること応援している団体です。活動に関する相談にのったり、定期的にサロンを開催したり、活動を志す市民が気軽に交流が持てるきっかけを提供しています。
今回は、活動や事業を次のステージに移行することについて考えている、NPO団体の運営者やその関係者など約15名がご参加。
「組織の文化をどう継承していけばよいのか」
「高齢化で世代交代どうしたらよいか、若い人たちとどうつながったらよいか」
「団体が時代にあわせてどう変化していったらよいか」
「ほかの団体や活動とどのように協働したらよいか」
といった意見が出る中、グループワークを交えながら講座がすすめられました。

問題点を付箋に書き出す参加者
グループワークで意見を交わす

多様なはたらき方を支える仕組みづくり

講座の前半は、Polarisの取締役ファウンダー兼チーフストーリーオフィサー(Chief StoryOfficer)の市川望美が、自身のプロフィールを紹介しながら、活動の原点となった子育て支援NPO団体の話、Polaris立ち上げの理由や事業内容などをお伝えしました。

Polarisは誰もが望めばどこでも自由に働ける「未来におけるあたりまえのはたらきかた」をつくる、と掲げて立ち上げた会社。大切なのは、仕事に人が合わせるのではなく、人に仕事を合わせられること。(市川)

▼参考ページ
Polarisの取り組み

また、NPO団体で活動していたころに感じたボランティアの素晴らしさや、地域への想いを引き継ぎつつ、あえて違う器としてPolarisを立ち上げた理由についても話しました。

地域で長年頑張ってきたプレイヤーの人たちが、自分の子どもが大きくなったときに、教育費がかかるから、という理由でボランティアを卒業するのは何か残念だなと思って。それで地域に関わり続ける選択肢として、仕事が機能しないだろうかと思ったのです。(市川)

代表交代という選択をした理由

2016年に代表を交代したことについて、市川は「創業時(2012年)から、できれば3年、遅くとも5年で交代する」と決めていたといい、その理由について次のように語りました。

組織のステージや形を変えていかなくてはと思っていたんです。リーダーがストーリーを語り引っ張っていく段階だと、雰囲気で「いいな」と思ってくれる人がいても、身近に感じてもらえない、という欠点もあります。創業者の想いが強すぎて、他の人がかかわりにくくなってしまうこともあるので、代表を変えるなどして組織の雰囲気を変えないと無理ではないかと思っていました。(市川)

▼参照記事
【参加レポート】「NPO事業承継サミット2023~女性中心型組織とリーダーシップ」から考える、意思決定・代表交代・インパクト

世代交代の持つ力

市川は、代表の交代には痛みがともなうことを認めつつ、組織を再起動するには有効であり、事業が拡大する可能性を秘めていると伝えています。

代表交代というのも、「私たちの活動をもう一度再起動して行く」「立ち上げた時みたいな情熱を取り戻す」という意気込みや、ビジョンを印象づけることができるという点では必要な新陳代謝ですし、とても大切だと思います。でも、もっと大切なのは、何のために世代交代や事業承継するかということ。それをすることで何ができるようになるのか考えることが重要です。(市川)

講義の最後には質問が飛び交うほど。「高齢化した組織にどう若い人材を呼び込めばよいか」という質問に対しては、Polarisが実践してきたアイディアをもとに、組織にアンケートを取るなどしてどういう認識を持っているかを内側から見直してみることや、若い人材との意見交換をする場を設定してみる、という提案をお伝えしました。

市川の講義後は、会場に残って参加者同士でお互いの団体について意見を交わしたり、市川に直接質問をしたいと、長い列ができたりするほど関心の高さがうかがえました。


関連記事