Loco-Working(ロコワーキング)とは

投稿者:sekiguchitomomi

 Loco-Working(ロコワーキング)とは

PolarisではLocal×Co×Working=Loco-Working(ロコワーキング)という言葉を使って、実現しようとしているはたらき方を表現することがあります。わかりそうでわからない言葉ですが、Polarisのはたらき方やあらゆるサービスの軸になっているものですので、ここで改めてご紹介いたします。

誰かと共に、新しい関係性をつくりはたらく

Loco-Working(ロコワーキング)とは、Polaris創業時から事業の核に掲げている、未来におけるあたりまえのはたらき方のコンセプトの一つです。
それは、仕事を通して、まちや地域コミュニティ(=Local)に新しい関係性をつくり、はたらくことそのもの(=Working)に新しい意味をつくることです。これらは、一人で成すことは難しく、誰かと共に形づくることでできると考えています(図1)。「誰か」と共に、仕事やはたらくことそのものに新しい意味をつくっていくと、それらが積み重なって、「シゴト軸のコミュニティ」を生み出し育むことにつながっていきます。(図2)

図1  Loco-Working(ロコワーキング)の成り立ち
図2 Loco-workingの発生とシゴト軸のコミュニティの醸成

「シゴト軸のコミュニティ」は、たとえ遠隔地であっても、共にはたらくことを通して、同じ意識を持ち、緩やかにつながることができる関係で、Polarisはこの関係性づくりに優先的に力を注いできました。カギとなるのは、フラットな関係性を築くことです。

例えば「チームではたらくこと」はPolarisのはたらき方で大事な要素の一つです。チーム内に役割はありますが、上下関係をつくって統率するためではなく、チームが円滑に動くためのものです。コミュニケーションにおいては対等な関係をつくり、その関係性が変幻自在であることがチームではたらくことの前提になっています。そのため、あるチームでは業務を取りまとめている人が、ほかのチームでは、作業メンバーとして仕事をしていることも珍しくありません。(図3)

図3 対等でフラットなチーム作り

こうした仕組みで仕事をしていることは、従来の社会規範の中で仕事をしている人から見ると、特異に映るかもしれませんし、組織として未熟だと思われるかもしれません。

しかしPolarisでは、自分で選択し、自分らしくはたらけることに寄り添い、柔軟な事業・組織運営を行ってきました。それこそが、既存のセオリーや仕組みを前提とせず、未来におけるあたりまえのはたらき方をつくろう、というミッションの礎になっています。

Loco-Working(ロコワーキング)の現場では、そうした自分らしい未来のためにPolarisとはたらくことを選んだ人たちが、今まで出会わなかった人たちと仕事で関わることで、視点や関係性が変わることがあります。その人の経験が新しいアイデアや価値につながることで、はたらくこと、関わることに愛着や誇りがうまれることがあります。自分らしくはたらこうと一歩を踏み出した人の、こうした小さな変化から、一人ひとりの価値の生み出し方が変わり、仕事の仕方、はたらく意味も変化していきます。

こうして、仕事は多様な人や地域につながる新しい方法となり、主体性をもって社会に関わるきっかけとなりえるのではないかと、私たちは考えています。Loco-Working(ロコワーキング)というはたらき方は、その萌芽として多様な人々の根底にあるのではないでしょうか。 

Loco-Working(ロコワーキング)の実践

実際に、PolarisではLoco-Working(ロコワーキング)に基づくはたらき方を事業に転換しています。その代表例が「くらしのくうき」です。このサービスは、創業者市川が(前職の)子育て支援のNPO時代に地域の子育てマップを作成したことに端を発し、地域情報を当事者視点で提供するサービスとして、2015年から不動産販売支援業務に活かされてきました。マンション販売時にコンシェルジュとして地域情報を提供することもあれば、地域の価値を発掘するために、地域情報マップをつくり、コミュニティ形成に一役買うこともあります。その地域を知らない人にとっては、地域で生活している人の経験が貴重な情報になる一方で、地域の人にとっては、生活してきたこと自体に価値が生まれ、仕事になっていくというサービスです。

「くらしのくうき」でサービス提供するスタッフ

「くらしのくうき」を展開していくと、地域にもさまざまな特徴があることがわかります。長年培ってきた関係性の中に、外から人が入ることによる不協和音は当然生じます。そうしたときにPolarisがよりどころにするのは、「シゴト軸のコミュニティ」で育んできた、誰かと共に新しい価値をつくろうという想いです。その地域の人たちが大事にしてきたことに共感しながら、フラットな関係性で新しい一歩を踏み出すことこそが肝になります。

Loco-Working(ロコワーキング)というはたらき方は、パートナーが変わることで、提供するサービスも変わります。一人ひとりが過ごしてきた日常は、地域に関わるパートナーにとって、新しい価値の原石です。そこで、Loco-Working(ロコワーキング)のパートナーを軸に、事業を整理していきます。

まず、パートナーを企業・自治体として、地域コミュニティ形成へ転換していったLoco-Working(ロコワーキング)事例が「アンドエス」(コミュニティスペース)です(図4右上領域)。ここは、石神井団地の建替え計画(練馬区と大手ゼネコンとの協働)と連動して、地域コミュニティ形成をサポートしてきた場所です。建て替え前の石神井公園団地住民と建替え後に入居予定の人が交流できるコミュニティ醸成拠点「Shakuji-ii BASE」(シャクジイイベース)を経て、2024年1月にオープン。現在は地域のコミュニティスペースとして、石神井の暮らしのゆとりの場となっています。

次に、自治体をパートナーとしてシニア世代の働き方支援をしているのが、働きたいミドルシニアと地域の仕事を繋ぐモデル事業「R60‐SETAGAYA‐」です(図4左上領域)。働きたいミドルシニアと働き手が必要な事業者をマッチングする世田谷区の事業で、ミドルシニア世代のセカンドキャリアのための棚卸しや企業とのマッチングを支援し、地域ではたらく後押しをしています。また、同じく世田谷区での健康寿命増進プログラム「せたがやデジタルポイントラリー」でも、シニア世代の健康ライフを支援する取り組みを行い、地域で暮らしてきたことが価値となるはたらき方を創出しています。

ほかに、地域の人々をパートナーに、地域資源の価値化プロセスやつながりづくりに取り組むのが、地域コミュニティ支援に当たる事業です(図4右下領域)。地域の人同士の座談会やご近所のマップづくりに取り組むことを通して、地縁をつくっていくことも、Loco-Working(ロコワーキング)の一つと考えています。

Loco-Working(ロコワーキング)は、個人が社会とつながることで、その人の経験が新しいアイデアや価値になり、はたらくこと、人やコミュニティと関わることに愛着や誇りがうまれることです。こうしたはたらき方ができることで、より豊かな社会になることを期待し、取り組んでいます。

図4 Loco-Working(ロコワーキング)の事例とパートナーのマッピング

Loco-Working(ロコワーキング)から地域イノベーションへ

Polarisでは、Loco-Working(ロコワーキング)のように、一人ひとりの日常を価値あるものに転換し、人やコミュニティと関わることに愛着や誇りがうまれる仕事やはたらき方が、地域イノベーションにつながっていくと考えています。

東京都調布市でコワーキングスペース(co-ba CHOFU)を運営していますが、この場は単に仕事ができる場所というだけではありません。地域のHUB拠点として人々をつなぎ、地域の人が心地よく暮らしはたらけるような街づくりを掲げています。調布だから生み出せる緩やかさや温かみを、地域の価値として磨いていくことで、イノベーションにつながると考えています。

人々が、自分らしくはたらき自分らしく暮らすことを、それぞれの愛着のある街で紡いでいく――。Loco-Working(ロコワーキング)を重ねていくことが、地域の価値を見直し革新を生み出し、本当の意味で暮らし方、はたらき方がより良くなる未来につながっていくことでしょう。


関連記事